コラム

外国人労働者の人材育成・研修とは?成功のポイントを解説

外国人労働者を雇用するにあたって、人材育成の課題や解決策、成功させるポイントなどを解説していきます。何より大切なことは、労働者の立場に立って業務内容や企業について理解してもらえるようにすることです。十分な教育体制を整え、必要な福利厚生やケアできる環境を用意してあげることも忘れてはいけません。働きやすい環境作りをすることが、人材育成を成功させるポイントです。

目次

外国人労働者の人材育成・人材研修とは

現在、多くの日本企業が外国人従業員を採用しており、外国人雇用は一般的なものとなっています。この背景には、国内の少子高齢化やグローバル環境への適応の必要性があり、外国人スタッフを採用し、定着させることが企業の将来性向上に貢献するとされています。そのため、外国人雇用においては異文化マネジメントが重要とされています。

外国人労働者の人材育成・人材研修の目的

外国人雇用に取り組む企業は、異文化マネジメントや外国人材の定着、成長を促進するための研修を行うことが必要です。育成や研修の主な目的は主に以下の3つです。
(1)企業経営者や人事担当者、現場マネージャー向けの外国人雇用管理や環境づくりに関する研修
(2)採用した外国人材が企業内で成長し、活躍するための語学、マインド、ビジネススキルなどの提供
(3)企業担当者と外国人材の成長をサポートし、企業全体の生産性を向上させる

外国人雇用においては、異文化マネジメントが成功の鍵となります。言葉や文化の違いを超え、外国人従業員を一体感のあるチームとして育てるために、適切な研修や支援体制が必要です。企業はこれらのアクションを通じて、外国人スタッフの専門知識とスキルを向上させ、組織全体の競争力を強化できます。

外国人労働者の人材育成ポイント

外国人労働者の人材育成・人材研修の内容

外国人労働者の人材育成・人材研修は、組織が多様性を受け入れ、活かし、国際競争力を高めるために欠かせない要素です。

・異文化マネジメント
・日本語スキルの向上
・職場文化への適応
・ビジネススキルの向上
・評価とフィードバック

これらの研修内容を組み合わせて提供することで、外国人労働者が組織での成功に向けて必要なスキルと知識を獲得し、組織全体の多様性を活かし、国際市場での競争力を高めるのに役立ちます。

異文化マネジメント

【目的】
異文化マネジメントの主な目的は、異なる文化背景を持つ労働者が組織内で円滑に協力し、共同で仕事を進めるためのスキルを養成することです。これにより、文化の違いからくる誤解や対立を最小限に抑え、効果的な協力関係を築くことができます。

【内容】
異文化マネジメント研修では、異なる文化の価値観や信念、コミュニケーションスタイル、コンフリクト解決方法についての理解を深めます。具体的なトピックには、文化の多様性への尊重、クロスカルチュラルコミュニケーションのスキル、異文化コンフリクトの解決方法が含まれます。

日本語スキルの向上

【目的】
日本語スキルの向上は、外国人労働者が職場で効果的なコミュニケーションを取り、業務を遂行できるようにすることを目的とします。言語の障壁を克服し、コミュニケーションが円滑に行えるようにすることが重要です。

【内容】
日本語向上研修では、言語の基本から専門用語までを網羅し、ビジネスコミュニケーションのスキルを向上させます。日常会話からビジネス文書の作成、プレゼンテーション技巧まで、労働者の言語スキルを高めます。

職場文化への適応

【目的】
現地の職場文化への適応は、外国人労働者が職場でのルール、慣習、価値観を理解し、尊重できるようにすることを目的とします。これにより、職場内での課題や対立を最小限にし、円滑な協力が可能になります。

【内容】
職場文化への適応研修では、企業の慣習、価値観、コミュニケーションスタイルを理解し、尊重する方法を教えます。また、職場での適切な行動、コミュニケーション、コンフリクト解決スキルのトレーニングも提供されます。

ビジネススキルの向上

【目的】
ビジネススキルの向上は、特定の職務や業界に必要な専門的なスキルを習得し、労働者が仕事を効果的に遂行できるようにすることを目的とします。業務に関連するトレーニングを提供し、労働者の専門知識を増やします。

【内容】
ビジネススキル向上研修は、業務に関連するトピックに焦点を当てます。例えば、販売テクニック、マーケティング戦略、プログラミング言語の学習、プロジェクト管理技術など、業界や職種に応じたスキルを提供します。

評価とフィードバック

【目的】
評価とフィードバックプロセスの目的は、労働者の成長を監視し、適切なフィードバックを提供することで、彼らのパフォーマンスを向上させ、モチベーションを高めることです。透明で公平な評価は、労働者にとって成長の機会を提供し、組織にとっては優れた成果を生み出す助けになります。

【内容】
評価とフィードバックプロセスでは、労働者の業績評価、目標設定、フィードバックの頻度、評価基準の明確化などが含まれます。透明性と公平性を確保し、労働者の成長と組織の目標達成に寄与します。

外国人労働者の職場環境

外国人雇用前に準備しておくこと

外国人材育成を成功させるにはいくつかの課題があります。ここでは、その課題を解決させるために事前に用意しておきたいことを解説していきます。

業務内容やルールのマニュアル化

まず必要なのは、業務内容や社内ルールのマニュアル化です。マニュアルは、必ず労働者の母国語で用意しておきましょう。そして、雇い入れる前に準備しておくのが理想的です。事前に準備しておけば、雇用した後にすぐ教育訓練に入ることができます。マニュアルは、日本語のものも用意しておくことを忘れてはいけません。訓練の担当者や現場責任者なども内容を理解できるようにしておくためです。教育訓練には十分に時間を取り、労働者がしっかり理解しているかどうかを確認しながら行います。業界用語や専門用語、比喩、固有の表現など、理解が難しい言葉は控えましょう。

マニュアルはわかりやすく、具体的な表現を使用して書くことに気をつけて作成しましょう。テキストだけでなく、図表、写真、図解などの視覚的な要素を使用することで、情報をより直感的に理解出来るようになります。マニュアルは一度作成した後も、ユーザーからのフィードバックに基づいて継続的に更新し、改善することが重要です。マニュアルだけでなく、新たに入社した外国人労働者に対して、具体的な業務手順や企業のルールを説明するオリエンテーションやトレーニングも提供しましょう。マニュアルと実際の業務とを結びつけることで、より深く理解を深めることができます。

習慣の違いに対する理解

外国人労働者と日本人の違いは、言語だけではありません。マナーや生活習慣も違います。外国人労働者の国ではどのような習慣や考え方なのか、しっかり把握しておくことが大切です。そして、日本の習慣や常識と比較してみて、どのような違いがあるのか理解しておきましょう。習慣や常識の違いがわかっていれば、適切な接し方や心がまえを持って迎えられます。日本の労働文化は、長時間労働や集団での行動を重視する傾向があります。また、日本では、業績よりも勤務時間が評価の一部となる場合もあります。

一方、ネパールやタイでは、宗教や家族、地域社会といった要素が働き方に大きく影響しており、必ずしも長時間労働が評価されるわけではありません。日本では、ホワイトカラーの労働者に対しては、ビジネスマナーとして、会議での適切な振る舞いや言葉遣い、フォーマルな服装をすることが求められます。しかし、ネパールやタイでは、宗教的な行事に関連した服装の規定や、地域社会の伝統に根ざした行動規範が存在します。また、労働条件については、日本では法律により最低賃金が保証されていますが、ネパールやタイでは労働条件は一般的には労働者と雇用者間の契約により決定され、それぞれの国で最低賃金が設定されています。これらの違いを理解することは、異なる文化背景を持つ人材を採用し、外国人労働者が最大限のパフォーマンスを発揮するための環境を整備する上で重要です。

国籍別の外国人の特徴を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

外国人労働者の母国語やマーク導入の社内表示

外国人労働者が実際に勤務する場所には、母国語やマークを導入しておくと親切です。入社時に説明することも大切ですが、職場に慣れてもらうには、いつでもわかるようにしておく必要があります。特に、避難通路のような緊急時に使用する場所は必ず導入しておきましょう。トイレや休憩室など誰もが使用する場所はもちろん、業務内容によっては作業内容や注意書きも母国語を入れておくことがポイントです。こうしておくことで、作業の流れや注意点を確認しながら業務を進めることができます。

外国人労働者にも適した福利厚生

働くうえで、息抜きの時間ややりがいを感じることも大切です。労働者に合った福利厚生を用意してあげると、やりがいにつながることもあります。例えば、歌うことが好きな国民性であれば、カラオケを楽しめる施設の利用ができると喜んでもらえます。保養所やスポーツジムの利用など、退社後や休日に楽しめるような福利厚生を用意しておくのもいいでしょう。定期的に表彰する制度を設けるのも、やりがいにつながります。

業務目的や企業理念への理解

外国人材育成において大きなポイントになるのが、業務の目的や企業理念を理解してもらうことです。自分が携わる仕事にはどのような目的や意味があるのか、それが理解できているかどうかでモチベーションが変わってきます。例えば、製造業であれば、その製品がどのように使われるもので国内や海外でどれくらいのシェアがあるのかといった説明も必要です。

企業理念を単なる文言として伝えるのではなく、実際の事例や成功ストーリーを通じて、理念がどのように実践されてきたかを具体的に示すことで、共感を生むことができます。また、一方的な伝達だけではなく、外国人との対話やディスカッションを通じて、企業理念についての理解を深める機会を作りましょう。質問やフィードバックを積極的に受け入れ、相手の意見や価値観を尊重する姿勢を示すことが重要です。企業がどういった理念や目標を掲げているのか知ってもらうことで「一員として貢献したい」と感じてもらいましょう。

外国人労働者用向け相談窓口の設置

日本人労働者のものとは別に、外国人労働者専用の相談窓口がある方が好ましいといえます。業務上の疑問や人間関係の悩み、プライベートな問題まで何でも相談できる環境を整えておくことが理想的です。何らかの悩みを抱えていると仕事に支障が出ることもあります。業務に集中できず、思わぬ失敗をすることもあるかもしれません。

外国人向け相談窓口の主な目的は、外国人労働者が日常生活や労働環境に適応するのを助けることです。外国人向け相談窓口が提供するサービスとしては、言語サポート(翻訳や通訳)、法律相談(ビザや労働法)、生活支援(住宅、医療、教育)、心理的サポート(ストレス管理、カウンセリング)など、多岐にわたっており、公的機関(地方自治体、政府機関)、民間企業、非営利組織、大学など、さまざまな組織によって運営されています。多くの場合、窓口のスタッフは、外国語を話すことができ、異文化間コミュニケーションに熟練しています。窓口が効果的に機能するためには、異文化理解、専門知識、適切な情報、継続的なサポートが必要となります。
外国人労働者自身が窓口の存在を知り、気軽に利用できる環境を雇用企業は整備する必要があります。

外国人人材育成においての異文化理解

外国人労働者への人材育成・研修の成功事例

最後は、外国人労働者への人材育成・研修の成功事例として3社の事例を紹介します。

・ユニクロ(ファーストリテイリング)
・楽天グループ
・Honda

ユニクロ(ファーストリテイリング)

ユニクロは、国際的な展開を進める中で、外国人材育成を重要視しています。具体的には、アジア諸国からの人材育成に注力し、多くの店舗で現地のマネージャーを育てています。さらに、社内での公用語を英語にすることで、様々な国籍の人材が働きやすい環境を整備しています。

新入社員の教育については、全員が6ヶ月間の研修を受けることが必須となっており、その間に業務知識だけでなく、ユニクロ独自の企業文化やビジョンについても学びます。外国人材に対する研修も十分に提供されており、日本のビジネスマナーや文化、企業理念などを理解できるようサポートしています。

楽天グループ

楽天もまた、社内の公用語を英語にすることで、国際的なビジネス環境を整備しています。これにより、非日本語話者でも自分の能力を十分に発揮できるようになっています。

さらに、多文化共生を重視するラクテンでは、多様性と包摂性に対する教育を実施しています。新入社員研修では、異なる文化背景を持つ人々とのコミュニケーション方法や、楽天の企業文化について学ぶことができます。また、社員の交流を促すためのイベントも定期的に開催されています。

このような楽天グループの取り組みが外国人からも評価を得ており、弊社YOLO総研で行った『「外国人が今一番働きたい会社ランキング」トップ10社(2023年)』でも外国人が働きたい企業第2位に楽天グループが入っております。

Honda

ホンダは、自社の国際競争力を保つために、外国人材の積極的な採用と育成に力を入れています。彼らは新入社員向けの研修制度を提供し、専門知識だけでなく、ホンダの企業文化や哲学についても深く理解することを期待しています。この研修制度は、社員が企業のビジョンを共有し、個々の業務に対する理解を深めるための重要な機会となっています。

さらに、ホンダは、メンターシッププログラムを通じて外国人材の育成に取り組んでいます。経験豊富な社員が新入社員を指導し、業務に必要なスキルだけでなく、企業文化や職場でのコミュニケーション方法などを教える役割を果たしています。

また、ホンダは製品の開発に際して、多様な視点を持つことの重要性を理解しています。これにより、世界中から人材を集め、自社製品の開発に彼らの視点や知識を活かすことが可能になっています。例えば、異なる地域の顧客ニーズを理解し、それに対応した製品設計を行うために、地元のエンジニアやデザイナーの知識を利用しています。

以上のように、各企業は自社の成長とともに外国人材の必要性を理解し、その育成に積極的に取り組んでいます。そしてそれぞれが、社内の公用語を英語にする、教育や研修制度を整備する、メンターシッププログラムを設ける、多文化共生を重視するなど、外国人材を引き寄せ育成し、その能力を最大限に発揮させるための独自の施策を講じています。これらの成功は、多様な人材を活用することの重要性を示し、他の企業にとって有益な示唆を提供しています。

まとめ

外国人労働者と一口にいっても、どこの国の出身かで対応は変わってきます。しかし、何より大切なのは労働者の立場に立って業務内容や企業について理解してもらえるようにすることです。十分な教育体制を整え、必要な福利厚生やケアできる環境を用意してあげることも忘れてはいけません。働きやすい環境作りをすることが、外国人材育成を成功させるポイントです。

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