コラム

移民を受け入れるとはどういうこと?受入れのメリット・デメリットをわかりやすく簡単に解説

移民を受け入れることは、多様性や経済成長の促進に貢献する一方で、社会的な課題や経済的負担を引き起こす可能性もあります。

この記事では、移民の受け入れに関するメリットとデメリットについて詳しく検討します。移民問題は、国内外で注目を集める重要なテーマであり、移民が新しい地域や国での生活を始める際に直面する課題や、受け入れ国の社会や経済に与える影響について理解することが重要です。

そこで、まずは移民とは何か、そして移民と難民の違いについて解説し、その後、移民を積極的に受け入れる国の事例を紹介します。そして、移民の受け入れによるメリットとデメリットについて、それぞれの側面を掘り下げて考察します。移民問題に対する理解を深め、社会的な課題や経済的な影響を考慮した上で、適切な政策や対策を模索することが、持続可能な移民政策の構築に不可欠です。

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そもそも移民とは

移民は、国際法的な定義はありませんが、国際移住機関(IOM)によれば、「国境を越えて、一時的または永続的に、さまざまな目的で通常の居住地から離れる人」のことを移民と呼んでいます。この移民の定義には、本人の法的地位や移動の自発性、理由、滞在期間にかかわらず、新たな居住地を求める人々を包括しています。

移民と難民の違い

移民と難民は、人々が国籍国である本来の居住地を離れ、別の地で暮らすことを指しますが、以下の4つの点で異なります。

1. 移民の定義
移民は、本来の居住地を離れ、国境を越えるか、国内で移動している人々を指します。理由や滞在期間に制約はありません。対照的に、難民は迫害や危険から逃れるために国を出る人々を指し、国際法で保護が認められています。

2. 移動の理由
移民の大多数は、仕事や家族、勉学などに関する理由で移住します。これに対し、難民は紛争や迫害、災害など、避けがたい理由によって移動を余儀なくされます。

3. 国際法的な保護の対象
移民は、特定の国際法的な保護の対象ではありません。一方で、難民は国際法で保護される権利が認められており、難民条約に基づき、迫害を受けるおそれのある人々が国際的保護を必要としています。

4. 法的地位
移民は、法的に居住権や労働権を得るために、通常は特定のプロセスや手続きを経ます。対照的に、難民には国際的保護の下で特定の権利と保護を受ける権利があります。

要するに、難民は国を出る際に迫害や危険を避けるために出国する人々であり、移民は自らの意思で新たな国に移り住む人々です。難民は国際的な保護の対象として特別な配慮が求められますが、移民は通常、法的手続きを経て新しい国での生活を始めます。

移民の受け入れに積極的な国

ここからは、移民の受け入れに積極的な国として「シンガポール」と「カナダ」の事例を紹介します。

シンガポール

シンガポールの経済成長は独立後の1960年代から1970年代初頭に急速に進みました。この時期からシンガポール政府は積極的に外国人労働者を受け入れ、経済成長のために必要な人材を確保しました。その結果、シンガポール国内の人口の約43%が移民となりました。移民として外国人労働者を受け入れることで、シンガポールがアジアで繁栄する都市国家の基盤を築く一因となりました。

しかし、最近の統計によれば、2021年6月末時点での人口は545万人であり、前年同月末に比べて4.1%減少しました。この2年連続の減少は、1965年の独立以来初めてのことです。この人口減少の主な要因は、入国規制の強化やビザ発給の要件の引き上げにより、外国人労働者の数が10%以上減少したことです。また、新型コロナウイルスの感染拡大も外国人労働者の減少に影響を与えました。

シンガポール政府は、外国人の労働ビザ発給の条件を厳しくし、シンガポール人の雇用を優先する方針を打ち出しています。また、専門職向けビザの取得要件も厳しくなりました。これらの措置により、外国人労働者の受け入れが減少し、人口動態に変化が生じています。

シンガポールの移民政策は、経済成長を支える重要な役割を果たしてきましたが、最近では国内の雇用状況や社会的な影響を考慮し、政策の見直しを行っています。これにより、今後は移民の受け入れと国内の労働市場のバランスをより良く調整していくことが期待されます。

(参考)シンガポールの人口、初の2年連続減 移民国家曲がり角 – 日本経済新聞

カナダ

カナダは、移民政策の成功例として世界的に知られています。過去数十年間にわたり、カナダは積極的な移民受け入れ政策を推進し、その成果を上げてきました。

歴史と背景
カナダは、1869年に最初の移民法を可決して以来、世界恐慌や世界大戦などの困難な時期にも移民を受け入れ、人口と経済の発展に貢献してきました。特に近年では、カナダ政府は移民受け入れ数を大幅に増やし、国の成長に不可欠な要素として位置付けています。

近年の傾向(移民の受け入れ数の増加)
近年、カナダの移民受け入れ数は急増しています。例えば、2022年には史上最多の40万5000人の移民を受け入れました。2025年までの移民計画では、年間50万人の移民を受け入れることを目指しています。これにより、カナダは毎年、人口当たりでイギリスの約8倍、アメリカの4倍もの永住者を受け入れることになります。

移民政策の特徴
カナダの移民政策は、経済移民を重視しています。約半数の永住者が、能力を見込まれて移民してきた人々であり、その割合をさらに増やすことを目指しています。カナダは、ポイント制度を導入し、高技能移民を優先するなど、移民の資質と能力を重視しています。

地域差と世論の反応
移民受け入れに対するカナダ国内の意見は一様ではありません。一部の地域では、移民の増加による言語や文化の変化、住宅価格の上昇などへの懸念が高まっています。特に、ケベック州は、移民受け入れ数に上限を設けるなど、独自の政策を推進しています。

将来への展望と課題
カナダは、高齢化や労働力不足といった課題に直面しています。移民政策は、これらの課題に対処し、経済や社会の発展を促進するための重要な手段として位置付けられています。しかし、移民受け入れの増加に伴い、社会的統合や住宅問題など、さまざまな課題が浮上しています。

カナダの移民政策は、世界的に注目される成功例です。経済移民を重視し、質の高い移民を受け入れることで、カナダは人口や経済の成長を支えています。将来に向けても、カナダは積極的な移民受け入れ政策を維持し、多様性と経済成長を促進していくことが期待されています。

移民を受け入れることのメリット

ここからは、移民を受け入れることの一般的なメリットを紹介していきます。

労働力の確保と経済成長促進

移民を受け入れることで、労働力の確保が可能となります。特に少子高齢化や人口減少が進む国々では、内国のみに依存するだけでは労働力が不足し、経済成長が阻害される可能性があります。移民労働者は、需要の高い分野や技能不足分野において活躍し、経済を活性化させます。

多様性とイノベーションの促進

異なる文化や価値観を持つ移民が受け入れられることで、社会全体が豊かな多様性を享受し、異なる視点からのアイデアやイノベーションが生まれやすくなります。新しいアイデアや経験を持つ移民は、ビジネスや文化に新たな風を吹き込むことができます。

国際競争力の強化

グローバル化が進む現代社会において、多言語や多文化に対応できる人材の重要性が高まっています。移民の受け入れは、国際的な人材の流動性を高め、企業や国の国際競争力を向上させることに繋がります。

社会保障制度の支え

少子高齢化や人口減少により、社会保障制度への負担が増大しています。移民を受け入れることで、社会保障制度を支える労働力が増え、財政的な持続性が向上する可能性があります。

新たな産業やニーズの創出

移民の受け入れにより、新たな産業やサービスが生まれる可能性があります。移民の文化やニーズに合わせた商品やサービスの提供は、市場の拡大や新たなビジネスチャンスを生み出すことができます。

労働市場の活性化

移民の受け入れにより、労働市場が活性化し、需要と供給のバランスが取れることで、雇用機会が増加し、労働条件や賃金の向上にも寄与します。

移民を受け入れることのデメリット

ここからは、移民を受け入れることの一般的なデメリットを紹介していきます。

社会統合の課題

移民の受け入れにより、異なる文化や言語、宗教を持つ人々が同じ社会で共存することになります。この過程で、文化の衝突や相互理解の不足が社会統合の障害となる可能性があります。また、移民が特定の地域に集中することで、地域社会の統一性や安定性に影響を与える場合もあります。

経済的負担

移民の受け入れには、社会福祉制度や公共サービスへの負担が伴います。移民が財政的支援や医療サービスを必要とする場合、これによって財政的な圧力が増大し、地元の住民に影響を与える可能性があります。

労働市場の影響

移民の受け入れが増えると、一部の職種や産業での労働者の需要が変化する可能性があります。これにより、地元の労働者が職を失うリスクが高まるだけでなく、賃金水準や労働条件の低下も懸念されます。

社会的緊張の増加

移民の受け入れにより、地域社会や国内での競争や対立が激化する可能性があります。移民と地元の住民との間での資源や仕事の分配に関する不公平感や競争が社会的な緊張を高めることがあります。

セキュリティ上の懸念

移民の増加が治安を脅かす可能性があります。不法移民や犯罪組織による違法活動や治安の悪化が懸念され、これに対処するためのセキュリティ対策が必要となります。

文化の喪失

移民の受け入れにより、地元の伝統的な文化やアイデンティティが失われる可能性があります。地域社会や国のアイデンティティが希薄化し、社会的な結束や認識の一体感が失われるリスクがあります。

加地 志帆 /外国人実習雇用士

この記事を書いた人

加地 志帆 /外国人実習雇用士

2019年にYOLO JAPANに入社し、外国人ユーザーの満足度向上を目指し、特にSNSを通じたプロモーション活動を担当。その経験を通じ現在は、企業が外国人採用をスムーズに進められるようヨロワークのウェブサイトにて情報発信。具体的には、外国人採用プロセスの支援、異文化理解を促進するコンテンツの提供。 2023年11月には外国人実習雇用士の資格を取得。企業と外国人が共存できる社会を目指すため外国人採用の知識を深めている。

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