コラム

宿泊業で外国人技能実習生を受け入れる方法や要件を徹底解説

外国人労働力を活用し、宿泊業での運営を強化したいと考えている企業や個人経営者にとって、技能実習生の受け入れは魅力的な選択肢となっています。しかし、そのためには厳格な要件と手続きが必要です。

この記事では、宿泊業における外国人技能実習生の受け入れ方法や要件について、詳しく解説しています。

目次

そもそも技能実習とは

技能実習制度は、日本が発展途上国からの技能実習生を受け入れ、彼らに日本の最新技術、知識、スキルを提供し、彼らがこれを習得する機会を提供するために設けられています。

技能実習生は、日本の技術やノウハウを学び、それを帰国後に自国での経済発展に活用し、貢献することが期待されており、この制度の主要な焦点は、「技能の習得」と「技術の移転」にあります。

宿泊業界における外国人採用

技能実習と特定技能の違い

「特定技能」と「技能実習制度」は、どちらも日本の労働市場への外国人労働者の受け入れを規定したものですが、滞在期間や受け入れ業種など様々な違いがあります。

主な違いは、「目的」「期間」「受入れ事業数」「機関」「家族同伴」などです。

「特定技能」と「技能実習制度」の違いについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

【企業】宿泊業で外国人技能実習生を受け入れるための要件

外国人技能実習生を受け入れるために必要な要件には、以下の内容が含まれます。

・技能実習計画の認定
・実習実施者の届出
・責任者、指導員の配置
・技能実習日誌の作成
・受入可能人数制限
・住居(宿舎)の用意
・給与や保険
など

ここでは、主な要件について紹介します。これらの要件を遵守することで、外国人技能実習生を受け入れる準備が整います。

技能実習計画の認定

技能実習を行わせる者(実習実施者)は、外国人技能実習機構へ「技能実習計画認定申請書」を提出し、計画が適切であるという認定を受ける必要があります。

この認定は、技能実習計画が法的要件を満たし、技能実習生の実習を支援し、適切な環境で行われることを確保するためのものです。

申請書のフォーマットは外国人技能実習機構から提供されていますので、下記URLからご確認ください。

技能実習計画の認定申請 | 外国人技能実習機構

実習実施者の届出

技能実習を開始した場合、実習実施者は外国人技能実習機構に「実習実施者届出書」を遅滞なく提出する必要があります。

この届出は、実習実施の開始を通知し、外国人技能実習機構が受け入れ企業を正確に把握し、監視するためのものです。届出先は、機構の地方事務所・支所です。

責任者、指導員の配置

技能実習生を受け入れる企業は、技能実習計画認定申請時に、技能実習責任者、技能実習指導員、生活指導員をそれぞれ1名以上配置する必要があります。

技能実習責任者は実習生の指導を監督し、技能実習指導員は実際の技能トレーニングを行い、生活指導員は実習生の日常生活のサポートを提供します。これにより、実習生は適切に指導され、安心して実習に取り組むことができます。

技能実習日誌の作成

宿泊業の実習生は、技能実習日誌を作成し、指導内容や実習の進捗を記録する必要があります。これは実習の評価や監視に役立ちます。

受入可能人数制限

外国人技能実習制度では、受け入れ企業が1年間に受け入れることのできる技能実習生の人数に制限があります。

企業は、自身の常勤職員数に応じて受け入れ可能な実習生の数が決まります。

住居(宿舎)の用意

宿泊業で実習生を受け入れる企業は、実習生が居住するための宿舎や寮を提供しなければなりません。宿舎は、実習生が快適に過ごせるように整備され、最低の生活環境基準を満たす必要があります。

給与や保険

技能実習生には、最低賃金法に基づいて最低賃金以上の給与を支払う必要があります。技能実習生の給与は、地域や業種によって異なる場合がありますので注意してください。

また、技能実習生は、雇用契約に基づいて社会保険や労働保険に加入させる必要があります。

【外国人】宿泊業で外国人技能実習生になるための要件

外国人が技能実習1号の在留資格を取得するためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

・技能実習生は18歳以上であること。
・帰国後に、本制度で学んだ技術を活用した業務に従事する予定であること。
・本国で同様の業務経験があるか、あるいは団体監理型技能実習を必要とする特別な事情があること。
※特別な事情は、以下の2つです。
(1)本国の職業訓練学校を卒業した等の事情。
(2)技能実習が日本と外国との技術協力上必要であること。
・本国または居住地域の地方公共団体等からの推薦を受けていること。
・過去に第1号技能実習を利用した経験がないこと。

受け入れられる期間は3年

ホテルや旅館で技能実習生を受け入れる際、受け入れ可能な期間は最長で「3年間」となります。

過去には、宿泊業においては技能実習1号の在留期間が1年に限定されていましたが、省令の改正により、宿泊業4つの業界団体が共同で設立した「宿泊技能試験センター」が実施する技能実習評価試験に合格することで、技能実習2号に移行することができるようになりました。

これにより、ホテルや旅館などの宿泊業で最長で3年間滞在することが可能になりました。

技能実習から特定技能への切り替えで最長8年

さらに、特定技能への在留資格の切り替えを行うことで、宿泊業での技能実習生の在留期間を最長で8年に延長することができます。

今後、宿泊業も特定技能2号の在留資格に含まれる可能性があるため、将来的には期間に制約のない状況で外国人材を採用できる可能性があることを考慮に入れておくべきです。

外国人技能実習生が行える業務

ホテルや旅館など宿泊業において、技能実習生は以下の職種・業務に携わることが可能です。

(1)到着時・出発時の利用客の送迎業務
宿泊客の到着時や出発時に、空港や駅などから送迎する業務です。

(2)滞在中の接客業務
宿泊客への対応、フロントデスクでのチェックイン・チェックアウト業務、質問への応答など、ホスピタリティに関わる業務です。

(3)会場の準備・整備業務
宴会場やイベントスペースの設営・片付け、椅子やテーブルの配置などを担当する業務です。

(4)料理・飲み物の提供業務
レストランやバーでの料理や飲み物の提供、オーダーの受け付けなどが含まれます。

(5)チェックイン・チェックアウト業務
宿泊客の受付と退室手続きを行います。

(6)利用客の安全確保と衛生管理
火災や救急事態への対応、感染症予防など、宿泊客の安全と衛生に関わる業務です。

(7)安全衛生業務
建物の安全点検、非常時の避難案内、消火器の点検・保守など、安全衛生に関する業務を担当します。

フロント、接客、料理、飲料の提供などの主要業務が技能実習全体の半分以上を占め、客室の清掃や整備などの関連業務が半分以下を占め、食器洗いなどの周辺業務は1/3以下の範囲内で行われます。

必要業務を外国人材に限定し、関連業務や周辺業務を行わせないことや、夜勤業務への従事は許可されていません。より幅広い業務を外国人材に割り当てたい場合は、特定技能での採用が必要となります。

外国人技能実習生が行えない業務

ホテルや旅館の客室清掃は、宿泊業の関連業務に該当し、主要業務とはみなされません。

しかし、宿泊施設の清掃やベットメイキングなどを主要業務として技能実習生を受け入れたい場合は、「ビルクリーニング」の枠組みでの受け入れが選択肢となります。

宿泊業における技能実習と特定技能のメリット・デメリット

宿泊業における技能実習と特定技能の一般的なメリット・デメリットを紹介します。

宿泊業界における技能実習のメリット・デメリット

【メリット】
(1)多様な人材
技能実習は無試験で日本に来られるため、多くの外国人労働者が利用しており、特定技能よりも人気があります。

(2)最低賃金レベルで雇用可能
一般的に最低賃金レベルで技能実習生を雇用でき、特に地方では雇用しやすい状況です。

(3)安定的に雇用できる
技能実習生は雇用の安定性が高く、3年間の安定雇用が可能です。

【デメリット】
(1)制限された仕事内容
技能実習は認定を受けた技能実習計画に従った実習を行う必要があり、仕事の制限が大きいことがあります。

(2)手間と費用がかかる
制度上、さまざまな義務が課せられ、実習実施者側に手間と費用がかかります。

(3)人数制限がある
雇用できる実習生の人数に制限があるため、柔軟な雇用が難しい場合があります。

宿泊業界における特定技能のメリット・デメリット

【メリット】
(1)仕事内容の幅広さ
特定技能では制限が比較的少なく、実習実施者に多くの仕事を任せることができます。

(2)手間と費用が少ない
実習実施者側の手間と費用が比較的少なく済みます。

(3)人数制限がない
特定技能では雇用できる人数に制限がないため、柔軟な雇用が可能です。

【デメリット】
(1)合格ハードルの高さ
特定技能には日本語試験と技能評価試験の2つの試験に合格する必要があり、外国人にとっては技能実習よりもハードルが高いため、特定技能候補者の獲得が難しい場合があります。

(2)地方では人が集まりにくい
地方では外国人労働者を集めにくい傾向があり、都市志向の外国人が多いため、地方の給与水準が低く、不人気です。

(3)柔軟な対応が難しい
コロナ後の需要増加に対応できず、人材確保が難しい場合も考えられます。

(4)離職の可能性
特定技能を持つ外国人は、自由に転職ができるため、労働条件や労働環境によっては、容易に転職されてしまう可能性があります。

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