コラム

特定技能「農業」とは?業務区分や要件、人数枠、試験など徹底解説!

特定技能「農業」における外国人労働者の需要が増加する中、日本の農業業界が直面する人手不足の問題は深刻化しています。高齢化や後継者不足などの要因により、農業分野における労働力の確保が急務となっています。そこで、2019年に導入された特定技能制度は、外国人労働者を活用してこの課題に対処する新たな試みとして注目されています。

この記事では、特定技能「農業」の業務区分や要件、受入れ状況、試験について詳しく解説します。

特定技能「農業」とは

特定技能「農業」とは、日本において農業分野での業務に従事するための在留資格です。日本の農業は後継者不足や高齢化が深刻な問題となっており、この問題に対処するために、2019年に特定技能ビザ制度が導入されました。

農業の人手不足の現状

農業の人手不足は、複数の要因によって引き起こされています。まず、就農者の減少や新規参入者の不足が挙げられます。これは農業に従事する人口が減少しており、農業を志す若者や新しい労働力が不足していることを意味します。

また、労働条件の曖昧さも人手不足の一因です。農業の労働条件が不透明であり、労働時間や給与形態が明確でないため、就農者が減少しています。さらに、地方の人口減少と高齢化も問題です。地方では若者の流出が進んでおり、働き手が減少しているため、農業従事者の確保が難しくなっています。

最後に、不安定な仕事量も人手不足の要因です。農業は季節によって仕事量が大きく変動し、労働者の確保が難しい状況にあります。


(出典)(1)基幹的農業従事者:農林水産省

これらの問題に対処するためには、さまざまな取り組みが必要ですが、その中の取り組みの一つとして、特定技能外国人に注目が集まっています。

特定技能「農業」での受入れ状況


(参考)特定技能在留外国人数(令和5年12月末現在):出入国在留管理庁

2023年末時点での農業分野での特定技能外国人の数は、23,861人となり、特定技能分野全体の約11.4%を占めています。

また、国籍別に見てみると、このうち、ベトナムからの労働者が最も多く、8,002人が就労しています。次に、インドネシアからの労働者が6,743人、フィリピンからの労働者が2,495人と続きます。中国からは2,009人、ミャンマーからは437人、カンボジアからは2,294人、ネパールからは563人、タイからは905人の労働者が就労しています。その他、413人が別の国からの労働者です。

・ベトナム:8,002人
・インドネシア:6,743人
・フィリピン:2,495人
・中国:2,009人
・ミャンマー:437人
・カンボジア:2,294人
・ネパール:563人
・タイ:905人
・その他:413人

特定技能「農業」の職種(業務区分)

特定技能「農業」で対応できる業務には、主に「耕種農業全般」と「畜産農業全般」の2つがあります。

耕種農業全般

特定技能「農業」で対応できる業務には、主に「耕種農業全般」と「畜産農業全般」の2つがあります。

耕種農業全般

耕種農業は、田畑に種をまき、作物を育てる農業スタイルを指します。具体的には、次のような作業が含まれます。
・施設園芸:温室やハウスなどで野菜や花を栽培する作業。
・畑作・野菜:野菜や穀物などを野外で栽培する作業。
・果樹:果樹園で果物を栽培し、収穫する作業。
※これらの作業には、種まき、水やり、施肥、病害虫の管理、収穫などが含まれます。

畜産農業全般

畜産農業は、家畜を飼育して肉や卵、乳製品などを生産する農業分野を指します。主な業務には次のようなものがあります。
・養豚:豚を飼育して豚肉を生産する作業。
・養鶏:鶏を飼育して卵や鶏肉を生産する作業。
・酪農:乳牛を飼育して牛乳を生産する作業。
※これらの作業には、家畜の健康管理、飼料管理、飼育環境の管理、出産の管理などが含まれます。

特定技能「1号」農業の外国人要件

特定技能「1号」農業の外国人要件として大きく「特定技能評価試験・日本語試験に合格するパターン」と「農業分野の技能実習2号からの移行するパターン」の2つに分かれます。

特定技能評価試験・日本語試験に合格するパターン

外国人が特定技能1号「農業」の在留資格を取得するためには、まず特定技能評価試験と日本語試験に合格する必要があります。特定技能評価試験は、農業技能測定試験として知られ、畜産と耕種の技能分野に分かれています。この試験では、約60分で約70問のテストが行われ、リスニングテスト、学科試験、実技試験などが含まれます。

日本語試験
また、日本語試験ではN4レベルの合格が求められ、日常会話レベルの日本語能力が必要です。両試験に合格することで、特定技能1号「農業」の在留資格を取得できます。その後、在留資格を取得した外国人は、日本での就労先での業務に従事することができます。

農業分野の技能実習2号からの移行するパターン

特定技能1号「農業」の在留資格を取得するもう一つの方法は、農業分野での技能実習2号からの移行です。技能実習2号とは、一定期間の実習を経て特定技能の要件を満たすことで在留資格を取得できる制度です。

この方法を選択する外国人は、まず技能実習2号での実習を完了する必要があります。実習中の職種や作業内容が、特定技能1号「農業」の要件と一致していることが確認されると、特定技能1号への移行手続きが行われます。要件を満たすと、特定技能1号「農業」の在留資格を取得し、日本での就労先での業務に従事することができます。

特定技能「2号」農業の外国人要件

業務内容と職務内容は、耕種農業全般(栽培管理、農産物の集出荷・選別等)、畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷・選別等)及び当該業務に関する管理業務を含みます。さらに、2号特定技能外国人は、1号特定技能外国人が従事する業務に加えて、管理業務を行う必要があります。

技能
技能要件においては、熟練した技能を要する業務に従事することが求められます。また、試験合格により確認された技能を要する業務に主として従事しなければなりません。耕種管理または飼養管理業務が従事する業務に含まれていることが必要です。

雇用期間
雇用期間については、2号特定技能外国人の雇用期間に制限はありません。在留期間は3年、1年、または6か月のいずれかが付与され、更新回数に制限はありませんが、更新手続きが必要です。

家族帯同
家族の帯同に関して、要件を満たせば、2号特定技能外国人は配偶者と子の帯同が可能です。帯同する家族は、「家族滞在」の在留資格を取得し、日本での滞在が認められます。ただし、就労は原則として認められず、資格外活動許可を得ている場合に限り、週28時間以内のアルバイトが可能です。

支援の有無に関して、特定技能「2号」では、受入れ企業や登録支援機関の支援は不要です。従って、登録支援機関の関与はなくなります。

最後に、実務経験について、農業の仕事をするためには、2号特定技能外国人は現場で複数の作業員を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者としての2年以上の実務経験または現場での3年以上の実務経験が必要です。耕種農業や畜産農業の現場での実務経験が評価されます。

受け入れ企業の要件

外国人労働者を受け入れる場合は、企業側が満たさなければならない要件がいくつかあります。前提として必要になるのが、「農業特定技能協議会」への入会です。協議会というのは外国人労働者の適切な運用を図るために、設置されている機関です。特定技能制度には14業種ありますが、それぞれに協議会が設置されています。農業分野においては、特定技能人材を受け入れてから4ヶ月以内に、「農業特定技能協議会」へ加入することが義務付けられているため、しっかり手続きをしておきましょう。農林水産省のホームページから、加入の問い合わせや申請をすることが可能です。

受け入れる際の雇用形態

雇用形態に関しては、直接雇用だけではなく派遣での受け入れも可能となっています。特定技能分野においては直接雇用のみが認められていて、派遣での受け入れは不可になっているケースが多いですが、農業に関しては派遣での受け入れが認められています。ただし、派遣雇用をする場合には、農業現場の実績を把握し適切な業務を遂行できる能力を有していなければならないなど、いくつか条件があります。また、過去1年以内に行方不明の外国人を発生させていないなど、受け入れ企業側にも満たさなければならない条件がいくつかあるため、注意が必要です。

特定技能外国人への報酬

特定技能外国人への報酬は、日本人が同じ業務に従事した場合と同等もしくはそれ以上でなければなりません。賃金規程がある場合はそれに基づいて判断し、賃金規程がない場合は日本人労働者と比較して判断することになります。賃金規程がなく、比較する日本人労働者もいない場合には、近隣にある同業他社の報酬額と比較するとよいでしょう。

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