コラム

飲食店・レストランで外国人雇用を成功させる方法や注意点を解説

人手を集めたくても、なかなか応募が集まらず、人材確保に不安を抱えている飲食店・外食業界の人事担当者も多いのではないでしょうか。飲食業界において、人材不足の深刻化を阻止するために注目されているのが外国人労働者です。いま日本では、2019年に特定技能といわれる在留資格が新しく作られるなど、外国人を雇用しやすい環境が整って来ています。ここでは、飲食店で外国人採用を行うメリットや注意点を解説していきましょう。

目次

飲食業界で外国人雇用に注目が集まる理由

新型コロナウイルスの水際対策が終了し、感染症法の5類への移行に伴い、日本国内の景気は回復の兆しを見せていますが、この回復に伴い、様々な需要が急増し、人材の供給が追いつかない状況が続いています。特に、行楽シーズンや観光業、飲食業などで供給不足が顕著です。

帝国データバンクの『人手不足に対する企業の動向調査(2023年4月)』によると、正社員の人手不足感は過去最高の51.4%に達しました。通常、4月は新卒者が新入社員として加わることから、人手不足感は低下する傾向がありますが、今年は過去最高を記録しました。非正社員でも30.7%と、4年ぶりに3割を超える水準となりました。

特に、正社員・非正社員の業種別の人手不足を見ると、「飲食店」の非正社員の就業者全体の7割以上を占めています。

また、正社員の人手不足は、61.3%、非正社員の人手不足では85.2%もの高い割合で人手不足を感じているとのことです。

人手不足の解消

これらの問題に対処するため、多くの飲食店が外国人を積極的に雇用しようとしています。その背後にはいくつかの重要な要因が存在します。まず第一に、長時間労働や厳しい労働条件から、多くの現地労働者が業界から離れてしまったことが挙げられます。そのため、外国人労働者の採用は、労働力の確保において頼りにされています。

インバウンド対策

また、外国人スタッフは、異なる文化やバックグラウンドを持つことが多く、これが飲食店に新たなアイデアや多様性をもたらします。異なる文化背景から来るスキルや経験は、飲食店のメニューやサービスに新しい要素を取り入れる機会を提供します。これは、顧客にとって魅力的で、集客力を高める要因となるでしょう。

さらに、日本への訪日外国人観光客が増加していることから、外国人スタッフの採用はインバウンド対策の一環としても重要です。外国人スタッフは、観光客に対して親しみやすい接客を提供し、異なる言語でのコミュニケーションが可能です。これにより、観光客の満足度が向上し、リピーター客の獲得にも寄与します。

特定技能ビザによる雇用環境の整備

日本政府が特定技能の在留資格に「外食業」を追加したことも、外国人労働者の採用を後押ししています。これにより、飲食店は外国人スタッフを雇用しやすくなり、人手不足の克服に取り組んでいます。総じて、外国人労働者の雇用は、飲食業界において重要な手段となり、業界全体の発展に貢献しています。」

飲食店が外国人雇用をする3つのメリット

ここからは、飲食店が外国人雇用をする主なメリットを3つ紹介します。

①若い労働力の確保
②外国人のお客様への多言語対応
③日本人スタッフへの刺激

①若い労働力の確保

日本の労働力は高齢化の影響を受け、減少傾向にあり、特に飲食業界ではこの問題が深刻です。外国人労働者は、この労働力不足に対処する鍵となっています。外国人労働者の数は2013年から増加し続け、200万人に近づいており、今後も増加が見込まれています。

政府の政策も外国人労働者の受け入れを奨励しており、飲食店が外国人スタッフを積極的に採用することで、労働力を確保できるでしょう。

さらに、日本は高齢化が進んでおり、若年層の採用が難しい状況です。しかし、海外から日本に就労目的で来日した多くの外国人は、20〜30代の若い層が多いです。そのため、外国人の採用により、若年層の人材を確保することが容易になり、業界への新しいエネルギーを注入できます。

②外国人のお客様への多言語対応

外国人のお客様が飲食店を訪れた際、外国語を話せるスタッフが在籍していないと、コミュニケーションに課題が生じることがあります。外国語を話せる外国人スタッフがいれば、外国人のお客様への適切な対応が可能となり、満足度の向上とトラブルの予防に役立ちます。

海外からの旅行客が増加している現在では、飲食店では日本語だけでなく多言語に対応できることが重要です。多言語対応を行うことで、外国人顧客を増やし、スムーズなコミュニケーションが実現します。

③日本人スタッフへの刺激

外国人スタッフは、日本人スタッフにとって刺激となる存在です。彼らの姿勢や努力は、日本で働くスタッフに影響を与え、外国語の教育などにも寄与します。また、外国人スタッフとの交流を通じて、外国人のお客様に対しても積極的に接客できるスキルが向上します。外国人スタッフとの協力により、より多様な経験とスキルを獲得できるため、日本人スタッフにとっても成長の機会となります。

飲食・外食産業における外国人採用

飲食業界で働ける外国人の在留資格(ビザ)

外国人労働者が日本で働くためには、法的な要件として「在留資格」を持つ必要があります。在留資格には就労できるものとできないものがあり、注意が必要です。

ここからは、飲食業界で働ける外国人の在留資格(ビザ)を詳しく紹介していきます。

①永定配(永住者・定住者・配偶者)

これらの4つの在留資格には、職種に関する制限がないため、飲食業界などのさまざまな職種で働くことができます。これらの在留資格を持つ外国人は、飲食業界のさまざまな職種で働く制限がないため、料理人、ウェイター、シェフ、店長、経営者など、どの職種でも働くことができます。

1. 永住者
永住者は日本に永住権を持つ外国人であり、職種に制限がありません。

2. 定住者
定住者も永住者と同様に、飲食店での仕事に職種の制限はありません。彼らは長期間にわたり日本に住むことを認められた外国人です。

3. 日本人の配偶者
日本国籍を持つ日本人と結婚した外国人配偶者は、飲食業界で日本人と同じように働くことができます。結婚により日本に滞在する資格を持っているため、職種に関する制限はありません。

4. 永住者の配偶者
永住者の配偶者も同様に、永住者の配偶者であることから、飲食業界で幅広い仕事をすることが可能です。

②技能

外国人の調理師や料理人(シェフ、コック、パティシエなど)が日本で調理師または料理人として働くためには、「技能」の在留資格が必要です。この在留資格は、彼らの母国の文化に基づく料理を提供することを専門としており、その国で考案された料理に従事する必要があります。

また、調理経験が本国で10年以上あるなど、上陸許可の基準を満たす必要があります。さらに、勤務する店のメニュー内容や客席数などの在留資格相当性も適合している必要があります。ただし、これらの在留資格には学歴などの特別な要件は不要で、調理学校での学習期間も実務経験に算入されます。審査の際には、調理師免許なども検討されます。

料理店の概要
外国人コックが提供する料理は、彼らの母国で考案された料理を専門的に提供するメニューである必要があります。

例えば、中国人なら、本格的な中華料理コースを提供する店での就労が必要であり、ラーメン専門店や餃子専門店は認められません。ラーメンや餃子は中国を起源としている一方で、日本独自の食べ方や味付けがあるためです。例えば、みそラーメンなどは日本独自の調味料で調理されています。

客席数
基本的に、コックビザで許可される仕事は調理に関するものに限られます。そのため、配膳や食器洗いなどの業務には数人のスタッフが必要であり、それに対応する売上を見込むためには25席以上の客席数が必要です。

実務経験の証明
外国人コックは、10年以上外国料理店でコックまたは調理として働いた実務経験を客観的に証明する必要があります。これを証明するためには、元の勤務先の料理店から、在籍証明書や退職証明書を取得する必要があります。ただし、料理店が閉店していたり、証明書の発行が拒否された場合、その期間は加算されません。そのため、証明可能な期間だけが計算されます。

最近では、この証明書の偽装が増加しており、出入国在留管理局によって厳密に調査されています。架空の料理店や、在籍歴のない料理店からの証明書は、現地での確認により迅速に偽造が発覚します。したがって、雇用する日本の料理店は、実務経験が真実であることを証明するものだけがコックビザを取得できると考えるべきです。

③特定技能

2019年に入管法が改正され、新たに「特定技能」在留資格が導入されました。特定技能には1号と2号があり、「外食業」分野では、2023年6月の改正で特定技能1号のみならず2号も導入が決まりました。

この特定技能は、日本の深刻な労働力不足を解消するために導入された在留資格制度であり、特に「外食業」分野では、レストランなどのホール業務からラーメン店の調理スタッフまで、外食業界およびその関連業界での仕事が可能です。

・特定技能1号:特定産業分野での知識や経験を要する業務に従事する外国人向けの在留資格。
・特定技能2号:特定産業分野(現在は建設と造船・舶用工業のみ)での熟練技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格。

【特定技能の特徴】
・在留期間:1号は最長で通算5年まで。2号は期限がない。
・専門的なスキルを持ち、即戦力として働ける
・技術レベル:試験で確認※技能実習2号修了者は試験免除
・日本語能力:生活および業務に必要な日本語能力を試験で確認※技能実習2号修了者は試験免除
・基本的に家族帯同は認められていない※2号は可能
・受入機関または登録支援機関のサポートが義務付けられている

【外食業分野の業務範囲】
外食業全般(料理調理、接客、店舗運営)〔1業務区分〕
例えば、料理の調理や接客業務、店舗の管理、原材料の調達など、外食業における多岐にわたる業務が可能です。また、病院の食堂などの給食施設での勤務も考えられます。

特定技能「外食業」は、外食業内であれば他の就労ビザ(技術・人文知識・国際業務など)のような業務制約がほとんどないため、日本人の雇用とほぼ同等の業務を遂行でき、継続的なスキル向上や経験の蓄積が可能です。

特に、特定技能『外食業』の受け入れは、日本標準産業分類の「76 飲食店」「77 持ち帰り・配達飲食サービス業」に該当する飲食店ならどこでも可能です。大手チェーンから個人経営まで、さまざまなタイプの飲食店で働くことができます。以下は考えられる業態の例です。

【該当業態の一例】
食堂、カフェ、レストラン、ファーストフード店、料理店、仕出し料理店、テイクアウト専門店(店内調理品を提供)、宅配専門店(店内調理品を配達)

▼フードデリバリーは可能?
特定技能「外食業」の外国人は、業務の一部としてデリバリー業務を行うことができます。ただし、調理や接客などの業務は含まれず、単にデリバリーのみを行うことは許可されていません。また、2023年4月現在、他の就労ビザでも同様にデリバリー業務のみを許可することはできません。

▼ホテル内のレストランでの就労も可能
宿泊施設のレストランで、料理の配膳や調理業務などを行うことは特定技能『外食業』の外国人にとって許可されています。たとえば、料理の盛り付け、洗い物、食器のセッティングなどが該当します。

ただし、ホテルのフロント業務やベッドメイキングなどの業務は許可されていないため、これらの業務を行いたい場合は特定技能「宿泊業」分野が適用されます。したがって、適切な外国人を採用する際には注意が必要です。

④ワーキングホリデー

日本のワーキングホリデー制度は、一部の国や地域の若者に、休暇を楽しみながらアルバイトなどの仕事をする機会を提供するプログラムです。この制度により、異なる文化や生活様式を理解し合う素晴らしい機会が生まれます。ワーキングホリデービザを取得すれば、観光、学校通い、アルバイトなどが可能で、自身の滞在費用を稼ぐことも認められています。この在留資格は、法務大臣が滞在目的を特定して認め、留学生の就職活動やアマチュアスポーツ選手などにも適用されます。

利用対象は協定国に限り、2023年には新たに「ウルグアイ」「フィンランド」「ラトビア」が加わり、29の国と協定が結ばれています。一般的な年齢制限は18歳から30歳までで、条件には有効なパスポート、航空切符または購入資金、滞在初日の生活費、健康状態が含まれます。また、以前にワーキングホリデービザを取得したことがある場合、再度の利用は認められません。

在留資格の確認には通常「在留カード」が使用されますが、ワーキングホリデーの在留カードには具体的な滞在目的が記載されていません。そのため、パスポートのチェックも重要です。ワーキングホリデーでの滞在情報はパスポートの指定書に記載されています。

ワーキングホリデー制度を活用することで、外国人を雇用する企業や業界にはいくつかのメリットがあります。まず、他の在留資格よりも低い雇用のハードルが特徴で、多様な職種で柔軟な雇用が可能です。また、外国人スタッフは訪日観光客に対応でき、言語の壁を乗り越えたサービスを提供できます。さらに、繁忙期に外国人スタッフを増員することで、需要に対応する柔軟性もあります。

⑤留学(アルバイト・インターンシップ)

最後に、留学生は資格外活動許可を受ければ、学費などの必要経費を稼ぐためにアルバイトをすることができます。留学生をアルバイトとして採用する際、安心して進めるために知っておくべきポイントを3つ紹介します。

①資格外活動許可の確認
留学生をアルバイトとして雇用するには、資格外活動許可を持っていることが必要です。この許可がない場合、雇用することはできません。資格外活動許可の有無は、留学生の在留カードの裏面に記載されています。必ず在留カードを確認し、許可があるかどうかを確認しましょう。

②就労時間に制限(週28時間 or 週40時間)
留学生の多くは学業を主たる目的としていますので、就労時間には制限があります。週については最大で28時間まで(残業時間を含む)、これを超えての雇用は違法となります。ただし、学校の長期休暇中には制限が緩和され、1日について最大8時間、週について最大40時間までアルバイトをすることができます。留学生の学業への影響を考慮して、就労時間を調整しましょう。

③風俗営業には就労できない
留学生は、風俗営業に関連する職種での就労が禁止されています。これには、パチンコ店、バー、ホステスがいる飲食店などが含まれます。留学生がこのような職種でアルバイトを行うと、不法就労と見なされ、法的な処罰を受ける可能性があります。従って、留学生の雇用に際しては、風俗営業に関する職種を避けるようにし、法的な問題を回避しましょう。

⑤技人国(技術・人文知識・国際業務)

飲食業界では、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格でも外国人雇用をすることが可能です。この資格の外国人は、母国文化に基づく思考や感受性が必要とされる業務に従事するか、大学や専門学校で学んだ技術や知識に関連する業務を行う必要があります。

具体的な例として、レストランチェーンのウェブサイトやパンフレットの制作などが挙げられます。

ただし、業務が限られた場合、許可が得られない可能性があるため、注意が必要です。清掃、荷物運び、レストランでの配膳などの単純労働は許可されないことに注意が必要です。

飲食店が外国人を雇用する際の注意点

外国人労働者を雇用することは、人手不足の緩和など多くのメリットをもたらしていますが、注意点が存在します。ここからは、代表的な注意点を2つ紹介していきます。

①日本のマナーやルールを学習させる必要がある
②日本語教育に時間と手間がかかる

①日本のマナーやルールを学習させる必要がある

外国人労働者にとって、日本には他国にはない独自のマナーやルールが存在します。飲食店でスタッフとして働く場合、これらの日本のマナーとルールを理解し、守ってもらう必要があります。

例えば、日本ではお客様を呼ぶ際に「〇〇様」と「様」をつけて呼ぶことが一般的ですが、海外の文化や習慣ではこのような概念が存在しない国も多くあります。また、日本ではゴミを分別して捨てることが一般的なルールですが、これも海外の国では通用しないことがあります。

外国人労働者を雇用する際には、これらの日本独自のマナーやルールを理解し、実践できるように指導する必要があります。これにより、不必要なトラブルを避けることができます。

②日本語教育に時間と手間がかかる

外国人労働者は、日本語に対する理解やスキルがまちまちであり、日本人スタッフよりも教育に時間と手間がかかることがあります。たとえ日本語が堪能であるように見えても、日本語の微妙なニュアンスや特有の表現が理解できないことがあります。

お客様とのコミュニケーションだけでなく、スタッフ同士の円滑なコミュニケーションも重要です。そのため、外国人労働者が日本語に適切に対応できるように、言語教育に時間をかける必要があります。外国人労働者の日本語教育は時間と手間がかかるため、適切なサポートと計画が必要です。

外国人雇用の流れ

外国人を雇用する前に、まず在留資格が適切であるかどうかを確認することが重要です。在留資格の種類が「永住者」、「定住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」の4つの資格であれば、職種の制限がないため、通常の日本人と同様に働くことができます。

  1. 在留資格の確認
  2. 労働契約の締結(労働条件の相互確認・雇用契約書の作成)
  3. 就労ビザ申請
  4. 受け入れの準備
  5. 雇用の開始(入社後の手続きなど)

また、トラブルを回避するために、外国人労働者と雇用主側が労働条件や仕事内容について納得し、雇用契約書を作成することが重要です。雇用契約書のフォーマットは、通常の日本人の雇用契約書と同じものを使用できます。この雇用契約書は就労ビザ申請時に必要となるため、事前に作成しておくべきです。

就労ビザに問題がなければ、労働者の詳細情報(氏名、在留資格、在留期間など)をハローワークに提出することで、雇用契約が完了します。

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