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実は日本は移民大国?アジアの若者が日本を選ぶ理由

2023年10月13日に出入国管理庁が発表したデータによると、在留外国人数は322万3,858人まで増加していることが明らかになりました。これは人口比で比較すると、まだ全体の2.6%に留まっていますが、2015年の1.5%からは着実に上昇していることが分かります。

要因としては、毎年アジアから多くの外国人労働者が日本に来ていることが挙げられ、少子高齢化が深刻化する日本では、外国人労働者はますます重要な存在となっています。

今回は国際関係や労働市場に精通する2人の専門家の見解を紹介していきながら日本の移民について紹介していきます。

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日本は既に「移民大国」

一般的に日本への移民は多くないとイメージされていますが、実際、日本は既に「移民」受け入れ大国です。2023年6月末時点での出入国管理庁のデータによると、在留外国人の数が前年比で約4.8%増加し、過去最高の322万人を突破しました。日本人口に対する割合を考えると、まだまだ少ないですが在留外国人の数は増加傾向です。

フォースバレー・コンシェルジュ株式会社代表取締役社長の柴崎氏(以下、柴崎氏)によると、政府は有権者を失いたくないため、移民を積極的に受け入れていないという姿勢をとっていると主張しています。この姿勢は、「移民は受け入れていないが、外国人労働者はたくさん受け入れている」という矛盾を生じさせています。

日本は先進国の中で唯一、どの就労ビザを持っていても「永住」が可能な国です。技能実習生として入国し、後に在留資格を特定技能に変更し、さらに特定技能2号になれば永住できます。通常、他国では技能実習生として入国し、そのまま永住するのは非常に難しいですが、日本はビザの取得が容易で更新の条件も緩いため、実質的に永住が可能な状態になっています。

最終的に在留期間を更新することで滞在を続けるかどうかは、日本政府ではなく個々の人の意思に委ねられます。柴崎氏はこれらの点を踏まえ、移民としての要素を持っていると見解しています。

移民の中心はアジア

移民というとヨーロッパやアメリカの問題とのイメージがあるが、国立社会保障・人口問題研究所 国際関係部部長の是川氏(以下、是川氏)によれば、実はアジア内部での移動(域内移動)が非常に多いとのことです。特に産油国への移動が多く、労働力の7〜8割が外国人労働者という国もあります。

しかし、アジアの移民労働者は永住を許されず、期限付きの滞在許可が与えられ、権利や福利厚生への制限も厳しく、一部では労働環境も過酷です。例えば、カタールでは数千人の移民労働者が死亡するという報道もありました。こうした状況を踏まえ、アジアの労働者たちは産油国以外の働き先を探す傾向にあります。

アジアにおける労働移動は3つのレイヤーに分かれます。最下層が産油国に向かう労働者、中間層がタイなどの近隣諸国に向かう労働者です。この2つの層が最も多くの割合を占めます。そして、その上の層の高卒以上の学歴を持つ人々が、日本、韓国、台湾などに向かう労働者になります。

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所得格差と移民の関係

是川氏によると所得格差が大きいほど移民が増えるというのは単純すぎる見方だと述べています。実際には、所得格差が大きすぎると、渡航費用が高くなり、移住するための最初のハードルを越えることが難しくなります。

日本の経済的な優位性が薄れ魅力がなくなったため、誰も来なくなるというのは誤解でありむしろ、日本が手の届く範囲になったからこそ、移住する人が増えています。是川氏は、現実的に自分が行ける範囲で、少し良い場所に移動することが移民を考えている人にとって最も合理的な方法だと述べています。

円安の影響と移民の動向

円安の影響で、ベトナム人が日本で働くことが難しくなっていると柴崎氏は指摘しています。一人当たりGDPの観点から見ると、理想的な所得格差は日本のGDPの40分の1から20分の1、最大でも10分の1程度が望ましいとされています。しかし、円安によって日本の経済力が相対的に低下し、この格差が変動したため、ベトナム人が日本で働きにくくなっているのです

また、柴崎氏は、一人当たりのGDPが2000ドル以下の国から外国人労働者を受け入れるのが最も効果的だと述べています。2050年には世界の人口が100億に達し、その増加のほとんどが発展途上国から来ると予測されています。そのため、どの国から労働者を受け入れるかが今後大きく変わると考えられます。

外国人労働者の学歴と雇用

外国人労働者について「低学歴が多いのではないか」との声がありますが、是川氏によれば、その認識は間違っているとのことです。

多くの技能実習生は現地では高卒以上の学歴を持つ人が多いですが、これは高学歴と考えられます。日本の高度経済成長期に「金の卵」と呼ばれた人材を思い出すと、当時、高校進学率が急速に上昇する中で、高校まで進学した人たちは貴重な存在でした。現代の外国人技能実習生も同様に、義務教育だけでなく高校まで進学している人たちです。

経済水準がもう少し高くなれば、これらの技能実習生たちは当然のように大学に進学するポテンシャルを持っています。つまり、彼らは経済成長に伴ってさらに高学歴化する可能性が高い層の人々です。現在の経済状況では大卒が当たり前ではないかもしれませんが、少し経済成長すれば普通に大学に進学するような階層の人たちが来日すると予測しています。

また、技能実習生は、日本で働くことでさらに成長する可能性があります。日本の企業にとって、彼らは今後の成長を支える重要な労働力となるでしょう。

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外国人労働者の賃金差は実際は大きいのか

外国人労働者を安く働かせているという主張に対して、日本では高度人材の賃金は日本人と大きな差はないと是川氏は主張しています。例えば、「技術・人文知識・国際業務」(技人国)の在留資格を持つ外国人の場合、賃金差は日本人と比較して7〜8%程度です。これは摩擦的な要因によるもので、日本が外国人のスキルを低く評価しているわけではありません。
ドイツでも同様の傾向が見られ、外国人と移民の賃金差は、高度人材に限っても同程度の差であり、他国でも同様の現象が観察されています。

一方、技能実習生に関しては、さまざまな要因を考慮した場合、同じ事業所で働く日本人と比べて約3割低い賃金となっています。技能実習生の受け入れにかかるコストを全て考慮すると、日本人の非正規雇用者を雇うよりも約4%コストが高くなります。これは、技能実習生の雇用には事業者が負担する費用、監理団体の監理費などが含まれており、これが全体のコストに影響を与えています。
また、技能実習生は一度雇用すると3年間は基本的に解雇することができず、不当に解雇すると次回以降は技能実習生の受け入れができなくなります。受け入れには最低でも6カ月かかるため、雇用の調整弁としては使えません。この点で、技能実習生は安価な労働力ではなく、むしろコストがかかる存在と見解しています。

外国人の増加で治安は悪化するという考え方は誤解

また、外国人の増加が治安悪化につながるという考え方は誤解と是川氏は見解しており、実際の犯罪率を比較すると、日本人の犯罪率は1,000人あたり1.92人(凶悪犯0.04人)、外国人の犯罪率は1.97人(凶悪犯0.05人)であり、大きな差がないという結果が示されています。
日本人の分母には犯罪を犯しにくい子供や高齢者も含まれているため、平均の犯罪率は下がる傾向がある一方、外国人は若い世代が主体となっています。そのため、単純に人数で比較すると高く見えますが、年齢別に調整すると外国人の犯罪率は平均で約10%低くなります。凶悪犯罪についても同様です。

失踪者数の増加が報道されていますが、全体の母数に対する失踪率は2〜3%と述べており、日本に来る外国人の数が増えているので、失踪件数が増えるのは当然の結果と言えます。もちろん、失踪が1件でもあることを問題視する見方もありますが、逆に言えば、97〜98%の外国人は脱走も失踪もしていない点も事実です。私たちはこの点を考慮する必要があります。

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新卒一括採用の強み

最後に、是川氏はアジアの特性を踏まえると、人材を受け入れて育てるという仕組みは非常に重要だといいます。多くの先進国では若年失業率が高いのに対し、日本では若年層がスムーズに就職できる仕組みが整っています。インターンシップの経験を積み、正規雇用に至るルートが確立されているためです。

このシステムは、留学生や移民にとってもエントリーの障壁が低く、日本への就職がしやすい仕組みとなっています。日本はこの採用形態で競合する他国が少なく、一人勝ちの状態にあります。多くの外国人がこのルートで日本に来て、永住に至るケースも増えています。

若年層へのサポートと今後の課題

前述のように日本の若年層は、他国と比べて仕事を始める際のエントリーの障壁が低いため、非常に有利なスタートを切ることができます。この強みを意識的に外国人受け入れに向けて強化していくことが重要です。

一方で、外国人労働者にとっての課題は、ミッドキャリア(中堅社員)の賃金問題です。この問題は日本人労働者にも共通しており、若い頃の賃金が低いため、多くの人が途中で離職してしまいます。しかし、管理職に昇進するまでの支援を強化することで、この問題を解決することが可能と述べています。

参考:【徹底解説】「日本の凋落で外国人が働きに来ない」はウソだった- NewsPicks 

YOLO総研 編集部 ラン

ここ最近、日本の経済状況の悪化により外国人の「日本離れ」が話題に上がっている一方で、所得格差が小さくなることで移民希望者が増えるという見方もあるのですね。
自国で働けない外国人労働者に日本を選んでもらうためにも、今後も外国人に優しい雇用システムを強化しつつ、低賃金問題の改善を進めていくことが必要不可欠だと思います。

YOLO総研 編集部 ラン

この記事を書いた人

YOLO総研 編集部 ラン

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