コラム

外国人労働者との間で起こる文化や価値観の違いによるトラブル事例と対策方法も解説

人手不足を解消するための重要な存在である外国人労働者。積極的に外国人を採用している日本企業も多いですが、文化や風習の違いから、トラブルに発展してしまうケースも珍しくありません。未然にトラブルを防ぐためには、仕事に対する常識や価値観の違いを理解したうえで採用する必要があります。ここでは、外国人労働者との間で起こるトラブルや対策方法を解説します。

【外国人トラブル】①時間

時間に対する考え方の違いで、外国人とトラブルになるケースがあります。

日本では、時間に対して正確である傾向にあり、出勤時間や休憩時間などを守る場合が多いです。国によっては、時間に緩い文化である場合も珍しくありません。

外国では、電車やバスなどといった公共交通機関が時間通りに来ない場合もあります。決められた時間に遅れることが当たり前の環境で育っていた場合、遅刻や就業時間を守らないなどの問題が起きる可能性があるのです。

残業の捉え方の違いもトラブルの元になります。徐々に働き方改革が進められていますが、日本では従来、長時間労働や残業が一般的な労働文化とされてきました。長時間労働は勤勉さや責任感の表れとされ、組織の一員としての忠誠心や奉仕精神を示すものという考え方が根付いています。

一方で、ブラジルやインドネシアをはじめ多くの国や地域では、プライベートの時間を重視します。労働時間外の時間を、家族や趣味などに割り当てます。また、多くの国や地域では、働く時間よりも生産性や効率性に重点が置かれる傾向があります。労働時間を短縮し、効果的なタスク管理や効率的な仕事の進め方によって成果を上げることが重視されます。

以上のような違いがあるため、外国人を雇う際には、共通理解をはっきりさせる必要があります。また、なぜ残業をするのかといった行動の目的や理由も伝えてあげることでトラブルを回避することが出来ます。

【対策方法】具体的に時間のルールを伝える

業務を円滑に進めるためには、時間の感覚を合わせる必要があります。研修では、出社時間や休憩時間などの時間のルールを説明しなくてはいけません。「始業時間の10分前には会社に到着しておく」「休憩時間が終わる5分前には集合する」など、具体的に伝えると相手も理解しやすいです。チャートやスケジュール表など視覚的な表現を用いることで、時間の流れや重要なポイントを明示的に示すことができます。国や地域によっては、時間に対する感覚や待ち合わせ時間の遅延に対する許容度が異なるため、日本での時間の扱い方や待ち合わせのエチケットなどを明確に説明することも効果的です。 

また、伝わっていない可能性を最小限に防ぐため、具体的なシナリオを外国人労働者に提示し理解度を確認するといいでしょう。また、時間の感覚を掴むために、外国人労働者自身でスケジュールを立ててもらうよう指示するのもおすすめです。 時間を守らなかった場合は、根気よく時間についてのルールを教える必要があります。遅刻したからといって厳しく叱責してしまうと逆効果になり、退職してしまうケースもあるため注意が必要です。

【外国人トラブル】②違法行為の認識の違い

違法行為の認識の違いが、外国人とのトラブルの原因となることがあります。外国人労働者が自身の行動を問題ないと判断しても、その行為が日本では違法とされる可能性があるのです。

たとえば、著作物の無断引用や社内情報のSNSへの流出など、母国では許容されている行動でも、日本では法律違反とみなされることがあります。本人が悪意を持っていなくても、法律違反は違法行為となり、意図しない法的トラブルに巻き込まれる可能性があります。

また、外国人労働者が社内の備品を持ち出す事例も見受けられます。しかし、会社の備品を持ち出すことは窃盗罪や横領罪に該当し、会社の規則を遵守することが重要です。備品の損傷や紛失により、労働基準関係法によって5万円の罰金が科される可能性があります。

【対策方法】法律をできるだけ詳しく説明する

日本と外国の法律には違いがあるため、できるだけ詳細に説明する必要があります。外国人労働者が日本の法律を理解しているかどうかは確実ではないため、法律の詳細な内容を丁寧に説明することが不可欠です。

特に違法行為に関する情報は、分かりやすく説明するべきです。口頭での説明だけでなく、書面で提供することも効果的です。書面であれば何度も確認できるため、トラブルの予防に役立ちます。

【外国人トラブル】③契約内容に関してのトラブル

外国人労働者との契約に関連する問題は多岐にわたり、それぞれに特有の対処が求められます。

たとえば、契約内容の理解に関する違いが挙げられます。言語や文化の違いから生じる誤解や不明確さが、契約に関連するトラブルの原因となることがあります。契約書は、労働者が理解できる言語で明瞭に記載されるべきです。賃金に関する問題では、労働者が約束された賃金を受け取っていないと感じる場合や、給与計算の誤りなどが問題となることがあります。さらに、労働時間や休暇扱いに関する不一致や不満がトラブルの要因となることもあります。

外国人を雇用する際には、日本とは異なる文化や言語を持つことを常に意識することが重要です。ハラスメントの一形態として、文化的な違いを理由に侮辱的な行為が含まれます。人種や国籍に基づいて侮辱的な発言を行ったり、不公平な扱いをすることもハラスメントです。さらに、外国人労働者の母国語に対する侮辱的なコメントや、彼らの日本語能力に対する過度の批判も避けるべきです。外国人労働者が理解できない言葉や意図的に複雑な専門用語を使用してコミュニケーションをとることも、ハラスメントの一環とされます。

(出典)「外国人労働者の雇用をめぐる 相談事例」|独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)

【対策方法】契約内容を明確にすること

これらの問題を回避するためには、明確な契約書の作成、適切な翻訳の提供、労働者の権利と義務の明示、公平な労働条件の提供、そして定期的なコミュニケーションが不可欠です。また、労働者が契約内容を理解し、自身の権利を認識できる環境を整備することも大切です。トラブルが発生した場合には、適切な法的アドバイスを受けることも考慮してください。

【外国人トラブル】④ホウレンソウ(報告・連絡・相談)の有無

日本では、業務遂行においてホウレンソウ(報告・連絡・相談)が大きな役割を果たします。上司や同僚との連携が重要視されており、一緒に仕事を進めることが強調されます。しかし、外国では各人が自己判断で業務を進めることが一般的な場合も多く存在します。

特に、上司に報告することが不要と考えられる国もあり、そのために日本の業務スタイルは外国人にとって異質に感じられることがあります。

仕事の進捗状況や問題点などが適切に報告されない場合、状況の把握が難しく、トラブルの原因となることもあります。日本と外国との業務スタイルの違いから、適切なコミュニケーションが確立されず、ミスが発生するリスクも存在します。

【対策方法】日本の仕事の進め方を説明する

業務を効率的に遂行するために、日本の業務スタイルについて研修を行い、説明することが重要です。日本のホウレンソウの背後にある理念や目的を外国人労働者に理解してもらうことは、円滑なコミュニケーションを確立し、トラブルの予防に役立ちます。外国人労働者がなぜホウレンソウが重要であるかを理解することで、効果的な業務進行が可能となります。

よく見られるトラブルの一つとして、連絡が取れなくなる事象が挙げられます。連絡不能となる主な理由には、以下の6つがあります。

(1)病気や怪我の場合
外国人労働者が病気や怪我にかかった場合、労働能力が低下し、仕事に復帰できない状況が生じる可能性があります。このような健康上の問題が発生すると、連絡が取れなくなることがあります。また、医療処置や入院が必要になる場合、通信手段を持ち歩けないことも考えられます。

(2)家庭や個人的な問題
労働者が故国で家庭問題や個人的な問題に直面することがあります。たとえば、家族の緊急な状況や個人的な危機が起きた場合、仕事に対する関心が低下し、連絡が途絶えることがあります。このような問題は一時的なものである場合もありますが、解決に時間がかかることもあります。

(3)勤務先の変更や帰国した場合
外国人労働者が仕事先を変更したり、故国に帰国したりすることは、連絡不能の原因となります。特に、職場の変更や帰国に伴い、新しい連絡先が提供されない場合、連絡が取れなくなることがあります。

(4)通信の問題
通信に関する問題は、連絡不能の一因としてよく見られます。携帯電話の故障、インターネット接続の不具合、メールアドレスの変更などが通信に関連する問題です。これらの問題が発生すると、他者とのコミュニケーションが妨げられ、連絡が取れなくなることがあります。

(5)ストレスや心の問題
外国での労働環境に適応できないストレスや、異文化からくる心の問題が発生することがあります。労働条件、言語の壁、対人関係などからくるストレスが蓄積され、労働者がコミュニケーションを避ける傾向にある場合、連絡が途絶えることがあります。

(6)違法な状況である場合
労働者が違法な活動に関与したり、労働ビザの期限切れなどで違法な状況になった場合、その違法行為を隠蔽するために連絡を絶つことがあります。違法な状況に関する恐れから、連絡が取れなくなるケースもあります。

【対処方法】出入国在留管理庁へ連絡

連絡不能になった場合、外国人労働者が提供した緊急連絡先や、家族や親しい友人の連絡先を知っている場合は、連絡を試みるべきです。また、音信不通後に不法滞在を防ぐためにも、出入国在留管理庁への報告が重要です。さらに、犯罪に巻き込まれた可能性がある場合には、警察への連絡も検討すべきです。

連絡不能となった際には、社会保険に関する手続きを適切に行うことも忘れずに実施しましょう。これにより、社員のままとみなされ、意図しない責任や不利益を回避することができます。

外国人在留情報センター
出入国在留管理庁は、入国手続きや在留手続きに関するお問い合わせに対応するため、各地方の出入国在留管理局および支局に相談窓口(外国人在留情報センターなど)を設けています。電話や窓口、メールで、多言語での対応が可能です。

(1)電話でのお問い合わせ
全国どこからでもご利用いただけます。

TEL:0570-013904
(IP、海外:03-5796-7112)
※電話番号を誤ってかけることが多いため、電話番号の再確認をお願いします。
一部の電話機では、最初に「0(ゼロ)」を押してから上記電話番号を押す必要がある場合があります。

営業時間:平日 午前8:30~午後5:15
※お問い合わせが集中し、電話に繋がりにくいことがあります。その際は、お手数ですが時間をおいて再度お電話いただくか、以下の特定の日時帯を避けるようお願い申し上げます。
特に混雑する日時帯:
・休日明けの開庁日
・午前11時~正午

対応言語:日本語、英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、ベトナム語、フィリピン語、ネパール語、インドネシア語、タイ語、クメール(カンボジア)語、ミャンマー語、モンゴル語、フランス語、シンハラ語、ウルドゥ語

(2)窓口でのお問合せ

住所時間対応言語
札幌〒060-0042北海道札幌市中央区大通西12丁目札幌第三合同庁舎平日 午前8 : 30~午後5 : 15(火曜~金曜日(※)は午後0 : 00~午後1 : 00を除く。 ※連続する閉庁日後の最初の開庁日を除く。)日本語、英語
仙台〒983-0842宮城県仙台市宮城野区五輪1-3-20仙台第二法務合同庁舎平日 午前8 : 45~午後4 : 30日本語、英語、中国語(ベトナム語についても対応可能な場合あり。)
東京〒108-8255東京都港区港南5-5-30平日 午前8 : 30~午後5 : 15日本語、英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、ベトナム語、フィリピノ語、ネパール語、インドネシア語、タイ語、クメール(カンボジア)語、ミャンマー語、モンゴル語、フランス語、シンハラ語、ウルドゥ語
横浜〒236-0002神奈川県横浜市金沢区鳥浜町10-7平日 午前8 : 30~午後5 : 15日本語、英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語
名古屋〒455-8601愛知県名古屋市港区正保町5-18平日 午前8 : 30~午後4 : 00日本語、英語、中国語、スペイン語、ポルトガル語、フィリピノ語(ベトナム語ついても対応可能な場合あり)
大阪〒559-0034大阪府大阪市住之江区南港北1-29-53平日 午前8 : 30~午後5 : 15日本語、英語、中国語、ベトナム語、スペイン語、ポルトガル語
神戸〒650-0024兵庫県神戸市中央区海岸通29神戸地方合同庁舎平日 午前8 : 30~午後5 : 15日本語、英語、中国語(スペイン語またはポルトガル語についても対応可能な場合あり。)
広島〒730-0012広島県広島市中区上八丁堀2-31広島法務総合庁舎内平日 午前9 : 00~午後4 : 00日本語、英語(中国語、スペイン語、ポルトガル語、インドネシア語、ベトナム語についても対応可能な場合あり。)
高松〒760-0011香川県高松市浜ノ町72-9平日 午前9 : 00~午後4 : 00(午後0 : 00~午後1 : 00を除く。)日本語、英語
福岡〒810-0073福岡県福岡市中央区舞鶴3-5-25福岡第一法務総合庁舎平日 午前9 : 00~午後4 : 00日本語、英語、中国語(韓国語についても対応可能な場合あり。)
那覇〒900-0022沖縄県那覇市樋川1-15-15那覇第一地方合同庁舎平日 午前9 : 00~午後4 : 00(午後0 : 00~午後1 : 00を除く。)日本語、英語

(3)メールによるお問い合わせ
対応言語:日本語、英語
(上記の言語以外でのお問い合わせには対応できませんので、ご了承ください。)

メールでお送りいただけるお問い合わせ内容:
・入国や在留に関する一般的な手続きについてのお問い合わせや相談
・出入国在留管理行政に対するご意見やご要望
お答えできない内容:
・個別の事例に関する申請や許可の見通し
・審査の進捗状況や処分結果
・退去強制手続きの進捗状況

メールアドレス:
info-tokyo@i.moj.go.jp

【外国人トラブル】⑥言葉の壁

コミュニケーションは言葉が通じないと上手くいきません。指示が伝わらなかったり、人間関係の構築が阻まれたりすることがあります。日本語は多義的であり、外国人にとって混乱を招きやすい言語であるため、誤解が生じやすいこともあります。同僚や上司といった職場の仲間であっても、言葉の壁があると孤立感を抱くケースもあります。

さらに、異なる国々では職場での挨拶の仕方も異なります。以下に具体的な例を示します。

ミャンマー
ミャンマーの人々は友好的で礼儀正しく、互いに敬意を払いますが、日本のような形式的な挨拶はあまり一般的ではありません。コミュニケーションは比較的カジュアルで、ハイエラルキーを維持する必要はありません。ミャンマーでは、直接的な否定や批判を避け、遠回しに表現することが好まれます。また、笑顔と友好的な態度が非常に重要です。

タイ
タイでは「ワイ」と呼ばれる特定の挨拶ジェスチャーがあります。これは手を合わせて軽く頭を下げる行為で、敬意と友情を示します。タイの文化では「敬意」が非常に重要視され、上下関係に敏感です。そのため、上司や年長者に特に敬意を払うよう心がけます。また、直接的な対立を避け、調和を保つことが重要視されます。

ベトナム
日本の職場では礼儀正しく控えめなコミュニケーションが一般的ですが、ベトナムでは比較的開放的で直接的なコミュニケーションが一般的です。ベトナムでは通常、「Xin chào」(こんにちは)と挨拶します。上司に対しては、「chào anh」(男性上司)または「chào chị」(女性上司)など、敬意を示す言葉を使うことが一般的です。

【対策方法】簡単な日本語とジェスチャーを使ってコミュニケーション

言葉が上手く通じないときには、簡単な日本語でコミュニケーションを図ることが大事です。難しい日本語では相手に伝わらない可能性があるため、できるだけ簡単で明確な言葉を使う必要があります。会話をするときには、ジェスチャーも交えると、より相手に考えが伝わりやすくなります。

やさしい日本語の作り方は主に4つの方法によって可能です。まず、文法を簡素化します。複雑な受動態や敬語などの使用を避け、直訳が可能な簡単な文法を使用します。次に、省略は極力避けましょう。日本語では、主語や目的語を省略することが多いですが、やさしい日本語では、これらをはっきりと伝えます。また、早口な日本語を避け、ゆっくりと明瞭に話すことも大切です。最後に、具体的な例を使用することも必要です。抽象的な表現や述語を使う代わりに、具体的な例や説明を用いて説明することで、利き手である外国人も安易にイメージ出来るようになります。

これらの工夫により、日本語学習者や日本語が母語でない人々も容易にコミュニケーションを取ることができます。特に外国人労働者とのコミュニケーションでは、やさしい日本語を意識的に使用することが求められます。

まとめ

日本とは異なる文化や価値観のある国で生活している外国人を雇う場合、さまざまなトラブルが起きる可能性があります。日本と外国の違いを把握しておくと、未然にトラブルを防ぐことが可能です。外国人が働きやすいように、日本企業が一定の配慮をする必要もあります。日本人と外国人が、お互いを尊重し、助け合うことが大切です。

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