シンガポール出身者の採用および選考プロセスにおいて、「シンガポールの学歴は!?」「この大学の評判は!?」「この教育機関の学位は大学と同等!?」など、疑問を抱えることはありませんか?
この記事では、このような疑問を抱える人事および採用担当者の方々に向けて、シンガポールの大学ランキング、教育制度、シンガポール人の就職事情に関する情報を紹介しています。
シンガポールの基本情報
まずは、シンガポールの基本情報と特徴について見てみましょう。
地理的特徴
シンガポールはマレー半島の南端に位置し、マレーシアとの境界はジョホール海峡によって隔てられています。国土面積は僅か719.1平方キロメートルです。
首都
シンガポールの首都はシンガポール市であり、政治的・経済的な中心地として機能しています。
人口・言語
2022年現在の人口は約580万人で、様々な民族が共存しています。主要な民族は華人、マレー人、インド人です。公用語は英語、マレー語、中国語(主に華語)、タミル語の4言語です。英語は行政やビジネスの分野で幅広く使用されています。
政治体制
シンガポールは共和国であり、議会制民主主義国家です。国家元首は大統領であり、政府の長は首相です。シンガポールは独立以来、一貫して人民行動党(People’s Action Party)が政権を担っています。
経済
シンガポールは高度に発展した経済体であり、国際的な金融センターとして名高いです。主要産業には製造業、金融、情報技術、観光業などが含まれます。低税率とオープンな経済政策が多国籍企業にとって魅力的なビジネス環境を提供しています。
文化・観光
シンガポールの文化は多様で、異なる民族グループの影響を受けています。様々な祭りや宗教行事が開催され、食文化も非常に多彩です。芸術と文化にも力を入れ、多くの博物館、ギャラリー、演劇団体が存在しています。
シンガポールは観光名所が充実しており、マリーナベイ・サンズ、セントーサ島、シンガポール動物園、ガーデンズ・バイ・ザ・ベイなどが人気の観光地です。また、ショッピング、食事、ナイトライフも楽しむことができる魅力的な要素です。
シンガポールの教育制度の特徴
ここからは、一般的なシンガポールの教育制度の特徴についてみていきましょう。
学年暦と入学年度
シンガポールの学校体系では、1月に入学し、11月に卒業する学年暦が採用されています。
就学前教育(3歳から5歳)
就学前の教育は、3歳から5歳の幼児を対象に、幼稚園や保育センターで行われます。在籍率についての情報は提供されていません。
義務教育(6歳から12歳)
義務教育は、6歳から12歳までの6年間にわたります。
初等教育
初等教育は、6歳から始まり、6年間の教育プログラムが提供されます。初等教育は基礎段階(第1〜4学年)とオリエンテーション段階(第5 〜6学年の2段階に分けられ、初等学校修了時に初等学校修了試験(PSLE)が行われます。
中等教育
中等教育は4〜6年間続き、中等学校で提供されます。中等学校では初等学校修了試験(PSLE)の成績に基づき、「標準コース」「高速コース」「快速コース」に分かれます。快速コースはGCE-Oレベル資格の取得試験を受験します。
「標準コース」は、普通教育課程(アカデミック課程)と技術教育課程に分かれ、修了時にGCE-N レベル資格を取得し、さらに1年間の就学に進むことでGCE-O レベル資格の取得試験を受験できます。
高等教育段階へ進学を希望する者は、ジュニア・カレッジ/中央教育学院に進学し、GCE-A レベル資格の試験を受験します。
職業教育
職業教育には、ポリテクニクや技術教育学院(ITE)などがあり、それぞれGCE-Oレベル資格を入学要件としています。技術教育学院は、GCE-N レベル取得者も入学可能で、ITE 全国サーティフィケイトなどが取得できます。ポリテクニクは、高等教育レベルのプログラムを提供しています。
高等教育
高等教育は大学で提供され、学士、修士、博士の学位プログラムがあります。教育ディプロマや学卒ディプロマも提供されています。
シンガポールの大学進学率は、2018年に調査された結果では88%と高い水準です。この比較的高い進学率は、教育制度の質と効率に対する高い評価を示唆しています。
教育行政
シンガポールの教育行政は、国の教育方針や政策を決定・実施し、全ての教育機関を監督する教育省によって管理されています。就学前教育から高等教育に至るまで、全ての教育段階を包括的に統括しています。
シンガポールと日本の教育制度の共通点
シンガポールと日本の教育制度にはいくつかの共通点があります。ここからは、その共通点について詳しく紹介していきます。
厳格な学習環境
シンガポールと日本はどちらも学生に対して高い学習要求を課す傾向があり、勉強熱心な文化が根付いています。生徒は長時間の学習に取り組むことが期待され、学業成績に重点が置かれます。
入試制度
両国は高校や大学への入試制度を採用しており、生徒は入学希望校に合格するために試験を受験します。入試の成績は進学や就職に大きな影響を与えます。
シンガポールと日本の教育制度の違い
一方で、シンガポールと日本の教育制度にもいくつかの違いがあります。ここからは、その違いを紹介していきます。
入学時期
最大の違いは、入学時期です。シンガポールでは1月に学年が始まり、11月に卒業式が行われます。一方、日本では4月に学年が始まり、3月に卒業式が行われます。
評価方法
シンガポールはPSLE(初等学校修了試験)やGCE-Oレベルなど、英国の教育システムに基づいた評価方法を採用しています。日本は独自の評価方法を持ち、定期的なテストや試験、単位制度を使用しています。
文化と教育の一体性
日本の教育制度は、日本文化や伝統に基づいた道徳教育を重視しています。一方、シンガポールの教育は多民族の社会を反映し、異なる文化や宗教に対する理解を促進する側面が強調されています。
シンガポールの大学ランキング(TOP8)
異なるランキングソースのデータを参考にして、シンガポールの大学を総合的に評価した「YOLO WORK」独自のシンガポール大学ランキングを紹介していきます。
1位:シンガポール国立大学 (National University of Singapore)
2位:南洋理工大学 (Nanyang Technological University)
3位:シンガポール・マネージメント大学 (Singapore Management University)
4位:シンガポール工科・デザイン大学 (Singapore University of Technology and Design)
5位:シンガポール社会科学大学 (Singapore University of Social Sciences)
6位:シンガポール工科大学 (Singapore Institute of Technology)
7位:ラサール芸術大学 (LASALLE College of the Arts)
8位:南洋芸術アカデミー (Nanyang Academy of Fine Arts)
それでは、それぞれの大学の特徴を見ていきましょう。
1位:シンガポール国立大学 (National University of Singapore)
シンガポール国立大学は、シンガポール最古の大学です。幅広い学問分野で卓越したプログラムを提供し、国際的な研究活動で高い評価を受けています。この総合大学は、工学、ビジネス、医学、人文科学など多岐にわたる分野をカバーしています。
著名な卒業生には、シンガポールの第7代大統領であるトニー・タン・カン・ヤム氏がおり、彼は物理学の学位を取得して政治家として成功を収めました。さらに、シンガポール国立大学を卒業した実業家のチー・シン・ルン氏は、JTC Corporationの創設者として知られています。
2位:南洋理工大学 (Nanyang Technological University)
南洋理工大学は、特に工学とテクノロジー分野で優れた評価を受けています。また、芸術、人文科学、社会科学など幅広い分野でも高い評判を持っています。
広大なキャンパスと充実した研究施設を備えており、卒業生にはシンガポールの政治家リー・シャウ・チュー氏や、インドネシアの実業家であるオンドリ・オンドリ氏など、著名な人物がいます。
3位:シンガポール・マネージメント大学 (Singapore Management University)
シンガポール・マネージメント大学は、ビジネスと経営に焦点を当てた大学で、シンガポールの経済発展において重要な役割を果たしています。経営学、経済学、情報システム管理などのプログラムを提供し、実務経験を組み合わせた学習を強調しています。
卒業生にはシンガポールの女優チャン・ヒューリー氏や政治家ピーター・ホー氏が含まれます。
4位:シンガポール工科・デザイン大学 (Singapore University of Technology and Design)
シンガポール工科・デザイン大学は、工学、デザイン、建築などの分野に特化した大学で、創造的な問題解決と技術革新に焦点を当てています。プロジェクトベースの学習を推進し、実務経験を通じて学生の問題解決能力を育てます。
建築家のトーマス・マグスタッド氏など、著名な卒業生が在籍しています。
5位:シンガポール社会科学大学 (Singapore University of Social Sciences)
シンガポール社会科学大学は、心理学、教育学、社会学、経営学などの社会科学に特化した大学です。成人学習とオンライン教育に力を入れ、社会的ニーズに対応しています。
6位:シンガポール工科大学 (Singapore Institute of Technology)
シンガポール工科大学は、シンガポールの産業に合わせたプログラムを提供する専門学校で、技術系分野やエンジニアリング、情報技術、デジタルメディアなどに特化しています。
7位:ラサール芸術大学 (LASALLE College of the Arts)
ラサール芸術大学は、芸術とデザインに特化した大学で、美術、演劇、デザイン、音楽、映画制作などの分野をカバーしています。クリエイティブな分野でキャリアを追求する芸術家やデザイナーを育成しています。
8位:南洋芸術アカデミー (Nanyang Academy of Fine Arts)
南洋芸術アカデミーは、美術、音楽、演劇、舞踏などの芸術分野に焦点を当てた大学で、芸術家やパフォーマーを育成し、芸術活動に貢献しています。
シンガポールの就職事情
最後は、シンガポールの就職事情について、詳しく紹介していきます。
外国人労働者へのオープンさ
シンガポールは外国人労働者を歓迎し、多様な国籍の人々が働いています。特に専門的なスキルを持つ外国人やシンガポールで需要の高い職種に就く外国人にとって、就職の機会が豊富です。
主要な産業
シンガポールの主要な産業は金融、情報技術、製造業、観光業、医療、教育など多岐にわたります。特に金融業界や情報技術分野では多くの求人があり、国際的な企業も進出しています。
英語の普及
シンガポールでは公用語として英語が広く使用されており、多くの企業が英語を主要なコミュニケーション言語として採用しています。英語が堪能な外国人にとって、職場でのコミュニケーションは容易です。
給与と福利厚生
シンガポールでの給与は一般的に高い水準で、さまざまな業界で競争力のある報酬が提供されます。また、シンガポールは労働者の権利と福祉に関して厳格な規制を持っており、労働条件が保護されています。
労働ビザと許可
外国人がシンガポールで働くには、適切な労働ビザと許可が必要です。これは雇用主が申請し、シンガポール政府の承認を受けるプロセスが必要です。専門職やスキルを持つ外国人に対する就業パス(Employment Pass)など、さまざまなビザオプションがあります。
競争激化
シンガポールでの求人市場は競争が激しいため、求職者は適切なスキルや経験を持つことが重要です。一部の職種ではシンガポール国内外からの競争が激しく、就職には熟練度と競争力が求められます。
多文化環境
シンガポールは多文化な社会であり、異なる文化的背景を持つ人々が共存しています。国際的な職場で働くことにより、異文化コミュニケーションスキルが磨かれる機会が提供されます。