開発途上国から来た技能実習生に技能、技術などを習得してもらい国際貢献を目的とした技能実習制度には、日本に滞在できる期間が設けられています。期限が来たら母国に帰国しなければなりませんが、技能実習生の滞在期間を延長したいと考える雇用主も多いのではないでしょうか。そこで今回は、技能実習生の滞在期間の延長について解説します。
日本に滞在できる期間は最大5年
技能実習生は「技能実習」という在留資格に該当し、技能実習1号は1年間、技能実習2号は2年間、技能実習3号は2年間滞在できます。
技能実習1号の滞在期間は最大1年間
「技能実習1号」とは、入国初年度に与えられる在留資格で「滞在期間は1年間」です。
1年目の技能実習生は入国後講習が1か月あるため、入社後に技能実習を行うのは約11か月間となります。
技能実習2号の滞在期間は最大2年間
「技能実習1号」のうちに試験(技能検定もしくは技能実習評価試験)に合格することで「技能実習2号」に移行することができます。
移行後は更に2年間技能実習を継続することができます。技能実習2号に関しては、86職種・158作業(2022年4月25日時点)のみが移行対象職種となります。
技能実習3号の滞在期間は最大2年間
「技能実習3号」は技能実習2号と同じで、1年間ごとの更新で滞在期間は最長2年間となっています。技能実習3号移行の試験に合格すれば次の技能実習3号移行手続きを行えますが、受入れ企業と監理団体の両方が優良認定を受けていないと3号を受け入れることはできないため注意が必要です。
2022.12.19
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滞在期間の5年を過ぎると帰国
技能実習生の滞在期間は、技能実習3号の5年が最長です。5年経過したら帰国させなければなりません。そして、技能実習の制度では原則として、「技能実習1号」を修了している人は、同じ業種の技能実習生になることができません。そのため、技能実習生を継続して滞在させたい場合、技能実習とは異なるビザが必要となります。ただ、新しい技能を身に付けさせる場合、同じ業種であっても、技能実習生として認められることがあります。しかし、あくまでも特殊な例であるため、基本的には適用できないと考えておきましょう。
特定技能に切り替えで更に5年の延長
先にも記載した通り、技能実習の期間は原則として最長5年です。滞在期間の延長を検討している場合、技能実習から「特定技能」に切り替えることで期間を延長することも可能です。特定技能とは、特定の業種で人手不足を解消するために外国人を雇用するという制度です。技能実習2号を良好に修了した技能実習生は、「特定技能1号」に移行することができます。
「特定技能1号」の滞在期間は5年です。技能実習から特定技能に移行できれば滞在期間が5年延長されます。「特定技能1号」は「技能実習2号」から移行可能なため、「技能実習3号」の要件を満たしていない企業であっても大丈夫です。
2022.12.12
技能実習から特定技能にビザ移行するための手続き方法と注意点
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8年から10年の滞在が可能
- 技能実習1号(1年)+技能実習2号(2年)+特定技能1号(5年)=8年
- 技能実習1号(1年)+技能実習2号(2年)+技能実習3号(2年)+特定技能1号(5年)=10年
学ぶ人から働く人への成長を経て長期滞在を実現
技能実習生が滞在できる期間の平均は「技能実習2号」時に迎える3年であることが多いです。企業側と監理団体が優良要件を満たしていて、「技能実習3号」として認められれば、滞在期間は5年に延長可能です。「特定技能」への移行を組み合わせることで、日本で活躍できる期間も伸びます。
建設業や造船船舶工業など、一部の業種では「特定技能1号」から「特定技能2号」に移行できます。「特定技能2号」には『期限』が設けられていません。したがって、「特定技能2号」に該当する業種であり、かつ要件を満たせば「技能実習」を足掛かりに、無期限で滞在させることも可能となります。