日本における外国人労働者の受け入れが進む中で、雇用主や採用担当者にとって在留資格やビザの種類に関する理解はますます重要となっています。特に、「特定活動」という在留資格を持つ外国人を雇用する際には、その条件や就労制限、期限などについて正確に把握しておくことが不可欠です。
この記事では、在留資格「特定活動」の概要から特定活動の種類や条件、そして特定活動を持つ外国人を雇用する際の注意点まで、わかりやすく簡潔に解説していきます。外国人労働者の雇用に関する法的な義務や留意点を理解し、適切な採用プロセスを構築するための参考情報としてご活用ください。
在留資格「特定活動」とは
在留資格「特定活動」とは、日本における外国人の活動に基づいて付与される一つの在留資格です。
在留資格「特定活動」は、個々の外国人のケースに合わせて、法務大臣が柔軟に活動を指定できるため、就労内容や期間、活動内容などが異なります。そのため、特定活動の在留資格を持っているからといって、必ずしも就労できるわけではありません。活動内容や条件に基づいて、個々のケースに合わせた審査が行われます。
特定活動の設立理由
特定活動が設立された主な理由は、新しい在留資格を制定するよりも柔軟に外国人の受け入れを促進するためです。新しい在留資格を設立するには入管法の改正が必要ですが、特定活動では法務大臣が個々の外国人の活動を指定できるため、法改正を行わずに活動の種類を増やすことが可能です。特に、緊急時や特別措置が必要な場合に、迅速な対応が可能です。
在留資格「特定活動」の種類
特定活動には、法務大臣が個々の外国人について指定する活動が含まれます。大まかには以下の3種類に分類されます。
(1)法定特定活動(出入国管理及び難民認定法に規定されている特定活動)
(2)告示特定活動
(3)告示外特定活動
法定特定活動(出入国管理及び難民認定法に規定されている特定活動)
法定特定活動は、出入国管理及び難民認定法に規定されている特定活動の一つであり、以下の3種類が存在します。
(1)特定研究活動
特定研究活動は、研究機関の施設で特定の分野に関する研究、研究の指導、および教育を行う活動を指します。また、同様の分野に関連する事業を経営する活動も含まれます。
(2)特定情報処理活動
特定情報処理活動は、自然科学または人文科学の分野に属する技術や知識を要する情報処理に関わる業務に従事する活動を指します。
(3)特定研究等家族滞在活動及び特定情報処理家族滞在活動
これは、特定研究活動または特定情報処理活動を行う外国人の配偶者や子供が日本で活動する場合を指します。
これらの特定活動に従事するためには、特定研究・特定情報処理に関する審査基準を満たす必要があります。具体的には、従事する業務に関する専門的な教育や経験、または報酬などが要件とされます。法定特定活動は、入管法によって定められており、特定の条件を満たす外国人に限り許可される活動です。
告示特定活動
告示特定活動は、法務省が告示した特定の活動を指す在留資格です。これらの活動は、日本と世界全体の社会状況によって影響を受け、その内容や数がよく変わるため、最新の情報は出入国在留管理庁の公式サイトをご確認下さい。
また、告示特定活動は、「○号告示」として呼ばれることが一般的です。2023年3月時点では、50種類ありましたが、2024年4月現在、47種類の特定活動が告示されています。
ここでは、いくつかの具体的な告示特定活動を紹介します。
1号(外交官・領事館の家事使用人)
外交官や領事館での家事やサポート業務を行う外国人向けの在留資格です。
5号(ワーキングホリデー)
若者が日本で短期間の滞在と働きを経験するための在留資格です。
6号(アマチュアスポーツ選手)
アマチュアスポーツ活動に従事する外国人向けの在留資格です。
9号(インターンシップ)
日本の企業や機関でのインターンシップ活動に従事する外国人向けの在留資格です。
告示外特定活動
「告示外特定活動」とは、法務大臣が告示していないが、慣例的に日本への上陸と在留を認める特定活動のことです。これらの活動では、留学生の就職活動、在留資格変更や出国ができない場合、在留外国人が家族を呼び寄せる場合、人道的配慮で許可された場合などの活動が認められています。
ここでは、いくつかの具体的な「告示外特定活動」の例を紹介します。
(1)就職活動のための特定活動(就活特活)
学校を卒業後も就職活動を続けたい場合に、留学から特定活動に変更し、最長1年間の在留期間が与えられます。この特定活動では、在留資格変更が可能で、就職活動に集中することができます。
(2)内定待機の特定活動
就職が決まったが入社までに時間がかかる場合、内定待機のための特定活動に変更する必要があります。例えば、入社まで数ヶ月以上の期間がある場合に該当します。
(3)出国準備のための特定活動
在留資格の申請後に不許可となった場合、出国準備のために特定活動に変更することがあります。通常は30日の出国準備期間が与えられますが、特例として90日の期間が設けられることもあります。
(4)家族滞在からの特定活動
家族滞在の在留資格から、定住者や特定活動への変更が可能です。特に、家族が日本の高等学校等を卒業している場合や就職先が内定している場合に適用されます。
(5)家族を呼び寄せる特定活動
在留外国人が本国の家族を呼び寄せたい場合に、人道的配慮という観点から認められる特定活動です。家族が高齢者であり、本国で単身暮らしをしている場合などに適用されます。
在留資格「特定活動」を持つ外国人を雇用する際の注意点
最後は、在留資格「特定活動」を持つ外国人を雇用する際の注意点を紹介していきます。
特定活動の内容(指定書)を確認する
前述してきたように、特定活動には様々な種類があります。外国人の在留カードには在留資格の種類や期間が記載されていますが、具体的な活動内容は記載されていません。
そのため、外国人の指定書を確認し、許可されている活動内容を把握することが重要です。許可されていない活動で外国人を雇用した場合、法的な責任が問われる可能性があるため注意が必要です。
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