コラム

バングラデシュはどんな国?基礎データから経済発展の背景まで詳しく解説

世界の紡績工場として最近注目を集めているバングラデシュという国を知っていますか?
日本に在住するバングラデシュ人の人口も増えており、バングラデシュ人と接する機会が今後増えていくことも考えられます。今回はそんなバングラデシュについて基本的な国の情報からバングラデシュ人の持つ性格などについても解説していきます。

バングラデシュとは

まずは簡単に基本情報を紹介します。
以下のデータからもわかるように、日本の約4割ほどの面積に1億6,935万人(日本の約1.3倍)もの人がひしめく、世界で6番目に人口密度の高い国です。インドとミャンマーに挟まれたベンガル湾に面した場所に位置し、昔から豊富な水資源がある土地として知られていました。

【バングラデシュの基礎データ】

面積:14万7千平方キロメートル(日本の約4割、バングラデシュ政府)

人口:1億6,935万人(2021年、世界銀行)

首都:ダッカ

民族:ベンガル人が大部分を占める。ミャンマーとの国境沿いのチッタゴン丘陵地帯には、チャクマ族等を中心とした仏教徒系少数民族が居住。

言語:ベンガル語(国語)、成人(15歳以上)識字率:75.6%(2020年、バングラデシュ統計局)

宗教:イスラム教徒88.4%、その他(ヒンズー教徒、仏教徒、キリスト教徒)11.6%(2020年、バングラデシュ統計局)

主食:米(消費量世界1位、魚もよく食べられており米と魚の国と呼ばれている)

※[参考:バングラデシュ基礎データ|外務省

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バングラデシュの地理と気候

バングラデシュは1971年に東パキスタンから独立し誕生しました。もともとこの土地はイギリスの支配を受けていました。インド帝国として独立後、ヒンドゥー教地域はインドに、イスラム教地域はインドを挟んで東と西に分かれ、東パキスタン・西パキスタンとして分離独立しました。
その後「ベンガル語をパキスタンの公用語にしよう」という運動が自治権運動に発展したことをきっかけに、ベンガル語で「ベンガル人の国」を表すバングラデシュとして独立します。

独立後は中道左派のアワミ連盟のシェイク・ムジブル・ラフマンが初代首相となり一党制を築きましたが1975年に暗殺されることになります。その後もクーデターなどに苦しみましたが、1990年以降は複数政党制に基づいて選挙で政府を選出するなど民主的に政治をします。

アジアの中でも貧困が課題視される国でしたが、独立から約50年たった今は大きな経済成長を遂げており、後発開発途上国を2024年以降に卒業する見込みであるとされています。2006年にはマイクロクレジットの取り組みをムハマド・ユヌスがグラミン銀行と行い、ノーベル平和賞を受賞しています。
マイクロクレジットとは貧困層や低所得者、失業者など銀行から融資を受けられない人に対し、無担保で小口資金を提供する金融サービスのことです。

バングラデシュの文化

イスラム色が強い

バングラデシュはイスラム教の宗教色が強い文化を持っています。そのため女性は肌が隠れる服装をしなければならないので、サロワカミューズと呼ばれる伝統的な服装やサリーを着用します。イスラム教の有名な慣習であるラマダンと呼ばれる断食期間もあるので、期間中はなるべく外で飲食しないことを配慮しなければなりません。

日本と違う慣習

また、バングラデシュ人が持つ慣習の1つに「YESという気持ちを伝えるジェスチャーは首を傾げる」という慣習があります。日本人からすると一見勘違いしてしまいそうなこの文化の違いは覚えておくと今後バングラデシュ人とのコミュニケーションに役立つでしょう。

結婚に重きを置く

バングラデシュでは人生において結婚を非常に重要に捉えています。20代後半で結婚するのが当然であるといった考えを持つ人が多く、今でもお見合いでの結婚が主流とされています。また、イスラム教は一夫多妻制を取っているため男性は1人につき4人まで妻を持つことを許されています。そのため女性差別などの問題に発展することもあり1つの社会問題になっています。

日本に住む在留バングラデシュ人

日本に住むバングラデシュ人の人口は年々増加しています。日本の法務省の在留外国人統計によると、2022年12月末時点で在日バングラデシュ人は22,723人です。東京を中心に関東圏に在留するケースが多く、その約2.5割が留学生として在留しています。以下のグラフにあるように1988年に急激に増加しているのは日本のプラザ合意が関係しています。プラザ合意の影響で日本は円高に転じました。そのため、国内の労働力の需要が増え、アジア諸国からの出稼ぎが増加したという背景があります。日本の労働者不足は今後も続くと考えられるため、在留バングラデシュ人の人口も増えていくことが予想されます。

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バングラデシュ人の性格

新日家な人が多い

バングラデシュには新日である人が多いと言われています。その理由として、
「パキスタン独立時に、日本が先進国の中で初めて独立を認めたこと」
「ODA(政府開発援助)で多くの支援をしていること」
などが挙げられます。アンケート調査(JETROが行った大学生に対する外国に対する印象についてのアンケート)においても「好きな国」「大事な国」「旅行したい国」「勉強したい言語」の全ての項目で1〜3位の上位に入っていました。このことからもバングラデシュ人が日本に友好的であることが分かると思います。

そして新日家である理由になるかは分かりませんが、実はバングラデシュの国旗は日本の日の丸国旗を真似て作られています。作者である「建国の父」と呼ばれたムジブル・ラーマン初代大統領が、「日本に魅せられ、日の丸のデザインを取り入れた」と彼の娘であるハシナ首相が述べています。

目の前のことを大切にする

バングラデシュ人は長期的に物事を考えるよりも、今目の前に起きていることを重要視します。
その理由として3点考えられます。

1つ目は経済が伸びているといっても十分な貯蓄をしている人が少ないという点です。
バングラデシュは支援や制度が国としてまだ完全に整っているという状況ではありません。自分で生活していくためにお金を使うのでなかなか貯蓄に回す余力が残って居ない人が多いです。そのため将来のことよりも今どう生きるかを意識している人の割合が高いといえます。

2つ目は国の状況が天候や政治などによって変わる点です。
上記でお伝えした通り、バングラデシュは自然災害が多く起こる国です。また、政治もまだ少し不安定でデモが起きて道路が封鎖されているといったこともよくあります。そのため、長期的に予測することが難しく、今を大切に生きることに意識をおくのかもしれません。

3つめはあまり深く考えない性格を持っている点です。
バングラデシュ人は「インシャアッラー(アッラーの神が望めば叶うでしょう(意訳) )」という言葉をよく使います。このような楽天的な考えを持っているため将来のことや計画などについて考えることはあまり好まず、今目の前のことを楽しむという考えが根付いているのかもしれません。

人間関係を大切にする

バングラディシュ人は、家族はもちろん初対面であってもかなり友好的に接します。この距離感を近すぎると感じる人も少なくありませんが、何かあったときにはすぐに駆け寄って助けてくれます。
もともと農耕民族であり、助け合いの精神を持っていることも理由の1つとして挙げられます。特に家族や親戚とのつながりが深く、子育てや介護はみんなで協力して行います。

バングラデシュの経済成長

バングラデシュの経済成長はすさまじく、2022-2023年の経済成長率は約6%と非常に高いです。新型コロナウイルスの感染拡大前の2018-2019年の経済成長率は8.15%とあの経済大国である中国の6.6%を大きく上回っており今後もバングラデシュの経済成長は期待されています。また、人口の多さとこの成長性からールドマンサックスが選ぶBRICsに続く期待新興国ネクスト11の一つに挙げられています。

メインとされる産業は衣料品、縫製品産業です。世界のアパレルファストファッションブランドがバングラデシュに工場を作り、海外へ輸出する流れが急拡大しています。2020年時点で中国、ベトナムに次ぐ世界第3位の衣料品、縫製品の輸出額を誇っています。これらの海外からの生産受注が増えたことで国民の総所得も年々増えてきています。しかし、工場の労働環境の劣悪さが問題になっており健康被害にまで影響をもたらしています。

バングラデシュの経済成長の理由

豊富で安価な労働力

バングラデシュの経済成長を支える衣料品、縫製品産業ですが、なぜ多くのファストファッションブランドの工場を誘致できたのでしょうか。答えは豊富で安価な労働力です。バングラデッシュは他の国と比べまだまだ発展の途中であることから賃金が安く済みます。また、先進国の多くが少子高齢化に陥っているのに対して、平均年齢は23歳と非常に若く労働人口は伸びる一方で、今後の成長も期待できます。また、バングラデシュには外資企業の進出を誘致するための経済特区があります。これらのことから多くの外国企業を誘致でき、その結果経済成長につながったと考えられます。

出稼ぎ労働者

バングラデシュの経済成長を支えるもう1つの柱は出稼ぎ労働者です。
バングラデシュの人々は多すぎる労働人口を自国の産業だけでは支えきれない点、海外の方が高収入を得られる点から出稼ぎをキャリアの1つとして選択します。「国民の10人に1人」が出稼ぎ労働者として、世界中で働いており、〝OFW (Overseas Filipino Worker=海外労働者)〟と呼ばれています。

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バングラデシュの抱える課題

貧困

上記のようにバングラデシュの経済成長率は高く、それに伴い貧困率もどんどん減少しています。しかし、国連開発計画(UNDP)が発表した2019年のデータによると、バングラデシュの人間開発指数は189カ国中135位で、人間開発中位グループに分類されています。貧困削減への取り組みも評価されていますが、いまなお貧困層の数は世界第5位という状況にあります。コロナウイルス拡大によるアパレル産業の輸出量低下に伴い、これまで産業を支えてきた工場従業員がまた新たに貧困に陥ってしまうことが危惧されています。

環境問題

「バングラデシュの地理と気候」でもお伝えしましたが、バングラデシュは洪水などの自然現象が多く「災害のデパート」とも呼ばれています。これらの問題はバングラデシュが経済を停滞させていた理由の1つで未だに完全な解決には至っていません。
また、急速な都市部の発展に伴い地方から移り住んだ農民が都市部にスラムを形成し、不衛生な生活環境が広がっていることも問題になっています。都市であるダッカの人口のうち約3分の1がスラムに住んでいるといわれており、健康面での被害に加え都市開発における立ち退き問題なども課題になっています。

男女格差

バングラデシュは人口の約8割がイスラム教徒です。女性は原則として家族以外の男性と接しないことになっていたり、一夫多妻制が取られていることから世界と比較してもバングラデシュの女性は男性よりも不利に扱われることが多いです。これはイスラム教の教えに美しく弱い立場にある女性を男性が守るべきだという意図があるからです。

しかし、これらの教えを都合よく解釈した結果女性に敬意を払わない男性が一部存在します。
例えば、結婚や性行為、求愛を拒否したという理由により、男性が女性の顔に「硫酸」「塩酸」「硝酸」などの劇物をかけ、やけどを負わせるという「アシッド・アタック」や女児童を家事使用人として労働させ暴力や性的虐待を受けている「女児童労働問題」などがあります。
このような非常に卑劣な差別問題は今後解決しなければいけない問題であるといえます。

バングラデシュに行った際に気を付けること

バングラデシュは日本からの旅行先としてあまりメジャーな国ではありません。しかし、観光地としては世界最大規模のマングローブやアンコールワットやボロブドゥール遺跡も影響を受けたといわれる、世界遺産パハルプール遺跡があります。また、都市であるメッカは世界で人口密度が最も高い都市の1つで人と人力車が行き交い混沌としておりエネルギッシュな熱気を感じられます。
メジャーでない理由としてやはり治安や衛生面、又は宗教面の問題が挙げられます。もしバングラデシュに行かれる際は必ず以下のことに注意しましょう。
・アルコール消費に関しては厳重の注意を払い、できるだけ人前で飲まないようにする。

※在バングラデシュ大使館からも留意事項として以下のようなことが発表されています。
(1)一度に大量のアルコール類を購入しない。
(2)やむを得ず大量のアルコール類を一度に購入する場合には、検問所における職務質問に備え、所属する会社からの証明書等を携行する。
(3)運転手以外のバングラデシュ人を可能な限り同行させない(運転手以外のバングラデシュ人が同行した場合には、購入者である日本人が購入したビール等を同バングラデシュ人に転売すると疑われる可能性があります)。
(4)アルコール類は、正規の販売店で購入する。
参考:在日バングラデシュ大使館:風俗・慣習・健康等

・ラマダン期間はイスラム教徒の前で食事をとらないようにする。・女性だけでの単独行動は避け、外出の際は肌を露出しない服装を心掛けましょう。男性であっても肌が見えるショートパンツ(短パン)は好ましくありません。
・金曜日に宗教施設に行かないようにする。イスラム教では金曜日が集団礼拝日とされており、政治的スピーチやデモが暴徒化する可能性が高いです。
・高級なホテルであっても水道水は飲まない、生ものは十分過熱してから食べないようにする。念のため下痢止めや解熱剤を持っていく。
・予防接種は済ませ、感染症には十分気を付けデング熱を持っている可能性がある蚊にはかまれないようにする。

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まとめ

今回はバングラデシュについて基本的なデータから具体的なバングラデシュ人が持つ性格やバングラデシュが現在抱える問題などについても解説していきました。上記でもお伝えしたように、バングラデシュは経済成長率が著しい国であり、日本に在留する人口が増えている国の1つです。親日国であるということもあり今後関わる可能性も十分にある国なのでぜひ今後もバングラデシュの動向に注目して見てください。

YOLO総研 編集部 ハタ

この記事を書いた人

YOLO総研 編集部 ハタ

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