2025年の大阪・関西万博に向けて、地域の雇用と経済に大きな変化が垣間見えてきました。万博準備のため、時給1,850円という時給のアルバイトが募集され、近隣の企業はますます人手不足に直面することが想定されます。何故なら、1,850円という時給は近畿地域のアルバイト・パートの平均時給の60%を上回るからです。
2025年に迫った大阪・関西万博の準備が本格化し、会場運営スタッフのアルバイト募集がスタートしました。そしてその時給は1,850円と、関西地域のアルバイト・パート時給平均の60%を上回る結果となっています。仕事探しをしている人にとっては魅力的な時給であることから、万博が開催される期間中、人手不足が深刻化する恐れがあり、地元企業の間では「万博に人材を奪われる」という懸念も広がっています。
大阪・関西万博に向けて日本国際博覧会協会は、イベント会社を通じて600人以上のスタッフを採用を予定しています。その主な業務は来場者の案内や、トラブルがないかなどの監視を行ってもらうといった内容になるようです。シフトに関しては、週5日フルタイムの「コアクルー」と、週1〜5日の間で勤務時間を選択できる「サポートクルー」の2つを募集しており、勤務期間は、2025年4月から10月までの万博期間中となっています。
今回、注目されている点は、募集要項にある時給1,850円という高額な金額です。株式会社リクルートホールディングスによると、24年3月時点の近畿地域(2府4県)のアルバイト・パートの平均時給は1,144円であり、大阪・関西万博の時給はそれよりも60%高い水準に位置します。特に競合が予想される販売・サービス系の平均時給は1,112円で、大阪・関西万博の時給はそれよりも70%高いです。この高い時給に関して、人材業界関係者から「かなり高額だ」と評価しています。
新型コロナウイルスの影響が収束し、訪日客の回復が見込まれる中、既に関西地域の企業は人材不足に直面しています。特に関西のあるレジャー施設の社員は、「人材争奪戦が激化する中、期間限定で高時給を提供できる万博に対抗できない」と不安を隠せない状況です。
今後、関連する各パビリオンでも運営スタッフの募集が行われ、雇用数はさらに増加する見通しです。2005年の愛知万博では、期間中だけで当時の地域の就業者数の約2%に相当する7万1,000人の雇用が創出されました。
また、関西地域の有効求人倍率は2年連続で上昇傾向にあり、特に宿泊業・飲食サービス業の求人が増加しています。大阪・関西万博関連の雇用増加は、アルバイト雇用に頼っているサービス業の人手不足をさらに加速させる可能性もあります。
企業側では人材確保に向けて動き始めているところも出てきており、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンを運営する合同会社ユー・エス・ジェイは時給を引き上げ、関西以外の地域でも募集を行っています。また、ワーキングホリデー制度を通じて海外からの働き手を採用するなど、様々な取り組みも進めています。ユー・エス・ジェイの担当者は、「万博前に人材を確保し、離れることなく働けるよう、働く体験の価値を高めるために努力しています」と述べています。
同様に、ロイヤルホテルもコロナ禍の影響が和らぎつつある23年度から新卒採用を増やし、24年度にはコロナ前から40%増の130人を採用しました。「万博期間中の宿泊需要に対応する必要もある」と同社は述べています。
関西経済研究センター所長の藤山光雄氏は、「人材獲得競争による賃金の上昇は関西で働く魅力を高め、経済的にプラスに働く可能性がある」と述べ、地域経済にポジティブな影響を与えることが期待されています。
(参考)大阪万博バイト時給は1850円 地元企業「人材取られる」‐ 日本経済新聞
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関西地域の万博準備における、アルバイト募集の時給が地域平均を大幅に上回る点は注目すべきですね。企業が人材獲得競争に勝ち抜くためには、従来の給与体系にとらわれず、パフォーマンスに応じたボーナス制度の導入や働きやすい環境の整備など、革新的な対策を講じることが求められてくるでしょう。