コラム

外国人が日本から海外送金をするには?手続き方法、税金などを解説

外国人を採用したときには、雇用した人材が日本から海外に送金をすることがある点に留意して、適切なサポートをできるようにしておくのが大切です。外国人が日本から海外送金をするときには何か特別な手続きが必要なのでしょうか。この記事では外国人の海外送金について必要な手続きと送金する際の注意点について詳しく解説します。

外国人が日本から海外送金する理由

日本に住む外国人が日本から海外送金する主な理由は、「母国の家族の生活を支えるため」と「保険や税金等の支払いのため」の2つです。まずは、その理由について詳しく紹介します。

母国の家族の生活を支えるため

日本で働く外国人の中には、母国に住む家族や親せきに経済的なサポートをするために海外送金を利用することがあります。特に、東南アジアの出身者に多く見られる傾向です。

生活を支えるという意味においては、食事や住居、教育、医療など様々な理由が考えられます。

例えば、母国にいる子供や親せきが教育を受けるために学費を支払う必要がある場合もあるでしょう。他にも、母国に住む家族が病気などの場合、その医療費を支払うために海外送金が利用されることもあるでしょう。

保険や税金等の支払いのため

外国での健康保険や医療費用の支払いなどが必要な場合に海外送金を利用します。特に、欧米諸国出身の外国人の方がこの理由で海外送金を使っています。

例えば、母国での年金保険や健康保険、税金、住宅ローンなどがある場合、これらの支払いを滞りなく続けるために、外国人は日本から母国に対して定期的に送金を行います。

海外送金の5つの手法とおすすめのサービス

ここからは、海外送金の5つの手法とおすすめのサービスをしょうかいします。

①日本の銀行口座から送金
 ・楽天銀行
 ・みずほ銀行
 ・三井住友銀行
 ・ゆうちょ銀行
②オンライン送金
 ・PayPal
 ・Wise(旧:TransferWise)
③現地口座から資金引き出し
④銀行口座が不要な送金サービス
⑤コンビニや店舗から送金

①日本の銀行口座から送金

日本のほとんどの銀行で「海外送金」や「国際送金」という名目で送金をすることが可能です。ここでは、代表的な銀行をいくつか紹介します。

(1)楽天銀行

留学先への送金
日本から留学先の銀行口座へ簡単に送金ができます。大量の現金を持ち歩く必要はありません。

商品購入代金の支払い
海外の通販サイトでのお買い物や、海外から商品を購入した際の代金の支払いにご利用いただけます。

海外での滞在費や旅費の送金
家族が海外でロングステイ、ホームステイ、駐在などをしている場合、または現地で生活している場合に、滞在費や生活費の送金にご利用いただけます。

送金手数料は固定の750円で、送金金額に関わらず適用されます。

詳しい情報は、楽天銀行の公式サイト「はじめての海外送金 | 外国への送金なら楽天銀行」からご覧ください。

(2)みずほ銀行

みずほ銀行は、口座をお持ちのお客様向けに、外国送金と国内外貨送金(非居住者向け円建送金を含む)のサービスを一部店舗で提供しています。

送金手数料は以下の通りです。

  1. 外貨建送金(円預金・電信送金)
    ・本支店向けの手数料:8,000 円
    ・他行向けの手数料:8,500 円
  2. 外貨建送金(外貨預金・電信送金)
    ・本支店向けの手数料:8,000 円
    ・他行向けの手数料:8,500 円
  3. 円建送金(円預金・電信送金)
    ・本支店向けの手数料:8,000 円
    ・他行向けの手数料:8,500 円

詳しい情報は、みずほ銀行の公式サイト「海外送金・国際送金を利用したい | みずほ銀行」からご覧ください。

(3)三井住友銀行
三井住友銀行では、SMBCダイレクトをご利用いただくと、送金手数料が窓口での送金よりもお得です。
特徴としては、24時間申し込み受付が可能で、受取人口座の簡単な登録が可能な点です。

送金手数料は以下の通りです。
・SMBCダイレクト
当行海外支店・現地法人・連携銀行あて:3,000円 / 件
海外他行あて:3,500円 / 件
・店頭窓口
当行海外支店・現地法人・連携銀行あて:7,000円 / 件
海外他行あて:7,500円 / 件

詳しい情報は、三井住友銀行の公式サイト「海外への送金・外貨建て送金 : 三井住友銀行」からご覧ください。

(4)ゆうちょ銀行
ゆうちょダイレクト(パソコン・スマートフォン)または窓口(国際送金取扱郵便局およびゆうちょ銀行全店)を通じて、世界各国への送金が可能です。ただし、このサービスは個人のお客様に限られます。

口座間送金の送金手数料(1件ごとの料金)は以下の通りです 。
・窓口:7,500円
・ゆうちょダイレクト:3,000円

上記のほかにも、海外送金をすることができる銀行は多数ありますので、すでに銀行口座を持っている方は、ご自身の銀行でも海外送金ができるかをぜひお問い合わせください。

②オンライン送金

登録から送金手続きまでをオンラインで完了できるサービスも存在します。業者のオフィスに出向いて手続きを行う手間を省くことができます。オンラインでの送金手続きなら、忙しい方でも期日までに簡単に送金ができます。

例えば、Pay Forexは世界200ヶ国以上へ送金でき、大口の送金の場合は手数料が無料です。

③現地口座から資金引き出し

通常、海外送金は通貨を両替し、その後に資金を送るプロセスですが、実際には資金を移動させずに現地口座から直接資金を引き出す方法が存在します。

この方法を利用することで、手数料を大幅に削減することができます。ただし、一部の国での利用制限がある場合や、現地口座が必要な場合があります。条件が合致し、手数料を削減したい場合には、この方法を検討してみてください。

Wise(旧:TransferWise)
https:/wise.com/jp/
Wise(旧:TransferWise)は、リアルタイムの為替レートを使用しており、余分な手数料を課すことはありません。また、通常の銀行送金で発生する中継手数料も一切かかりません。

メリット
・海外送金手数料が低い
・送金にかかる時間が短い

デメリット
・日本語対応が不十分(英語ができれば問題なし)
・海外受取口座が必要

Wiseは国内送金をベースにしており、迅速な送金と低コストを実現します。リアルタイムの為替レートを提供するため、不必要な手数料がかかることはありません。

通常、銀行を利用した海外送金では中継手数料が発生することがあり、事前に送金額を正確に計算するのが難しいことがありますが、Wiseでは基本的に中継手数料が発生しません。送金前に表示される金額が、実際に送金される金額とほぼ同じです(中継手数料が発生する場合には明示されます)。

手数料は、送金金額や為替レートに依存しますが、サイト内の手数料計算ツールを使用することで、簡単に実際の送金コストを確認できます。

着金までの所要時間は、受取銀行の処理時間により異なりますが、通常は1〜2営業日以内に着金します。

一括送金サービスを利用すれば、複数の送金をまとめてスムーズに行うことも可能です。

ただし、法人アカウントの登録は株式会社、有限会社、合同会社、合名会社、合資会社に限られており、信託会社や財団、慈善団体、NPOなどの他の法人には利用できない点にご注意ください。

④銀行口座が不要な送金サービス

お金を送金した後、現地の取扱店で簡単に受け取れる場合、銀行口座は必要ありません。例えば、enRemitはアメリカの大手送金サービス会社である「マネーグラム」と提携しており、世界200ヶ国に約35万の取扱店があります。受け取りまでの所要時間は最短10分ですが、申し込み手続きには時間がかかることがあります。

enRemit
https://www.enremit.com/
enRemitは、MoneyGram(マネーグラム) 社と提携した資金移動業者による海外送金サービスです。enRemitで送金手続きをすれば、世界中のマネーグラム社取扱店にて金銭を受け取ることができます。

⑤コンビニや店舗から送金

コンビニや店舗からも海外送金手続きが行えるサービスも存在します。Western Unionなどは、世界200ヶ国以上に50万か所以上の取り扱い店舗を持ち、コンビニやATMからも送金が可能です。また、セブン銀行と提携しているため、セブンイレブンが近くにあれば利用しやすいでしょう。

セブン銀行
セブン銀行の海外送金サービスは、いつでもどこからでもご利用いただけます。お近くのセブン銀行ATMはもちろん、インターネットを通じて原則として24時間365日、送金が可能です。急な送金が必要な場合でも、迅速に送金手続きを完了できます。
「セブン銀行海外送金サービスWestern Union」なら、約200カ国のWestern Union窓口で受取可能です。また、中国・フィリピン国内なら銀行口座へも送金できます。送金手数料は、送金金額によって、990円~6,500円です。

外国人が日本から海外送金するのに手続きは不要

日本から海外送金をするときに必要な手続きについては外国為替及び外国貿易法(外為法)によって定められています。外国人労働者が日本から海外送金をするときには、外為法に抵触しない限りは許可を得る手続きをする必要はありません。一般的には外国人労働者が海外送金をするときには自国にいる自分の家族の生活費や養育費などを送るのが目的でしょう。このような場合には海外送金について特に手続きをする必要がありません。

近年では海外送金をする方法もバラエティーが豊かになっています。昔からよく用いられているのは銀行などの金融機関から海外送金手続きをする方法です。ただ、日本の銀行口座を開設した上で窓口で手続きをしなければならないことが多く、外国人にとっては敷居が高い方法でした。しかし、現在ではオンライン送金やコンビニなどに設置されているATMからの送金ができるサービスも利用できます。銀行口座がなくても送金できるサービスもあり、オンラインウォレットをつかって資金移動をすることもできるようになりました。銀行口座を開設できれば口座引き落としによって海外送金をすることも可能です。このようなサービスの多様化によって外国人労働者は日本から海外送金しやすくなっています。

外国人が日本から海外送金するときの注意点

外国人が日本から海外送金をするときには注意点があります。海外送金をする際に使えるサービスが多様化している影響もあってリスクの考慮が必要になっています。具体的に考慮が必要なポイントを理解しておきましょう。

制裁対象国については海外送金できない場合がある

制裁対象国への送金は認められていないので注意が必要です。マネーロンダリングやテロなどの犯罪行為の防止を目的として海外送金の規制が敷かれています。代表的なのがOFAC規制で、米国財務省外国資産管理室によって制裁対象国には送金規制が設けられています。アメリカの金融機関を利用する場合や米ドル建ての場合にはOFAC規制が適用される可能性があるので注意しましょう。該当国の外国人労働者を雇用する場合にはリスク回避のため、米ドル以外の通貨で送金できるサービスを利用するように伝えるのが重要です。

銀行での100万円以上の海外送金では税務署に伝わる

銀行などの金融機関を利用して100万円以上の海外送金をしたときには税務署に事実が伝わります。金融機関では100万円以上の資金を動かす海外との取引について税務署に申告する義務を負っているからです。税務署に伝わったとしてもきちんと税金を納めていて、資金の出処が明確になっていれば問題が起こることはありません。しかし、税務署から送金をした外国人に調書が届く場合があるので注意が必要です。調書では海外送金をした目的や理由について問われます。また、その資金について税金の申告漏れがないかの確認も求められます。この際の対応について外国人労働者に伝えておくと安心してもらえるでしょう。

送金先によっては贈与税がかかる場合がある

海外送金をするときには送金先によっては贈与税がかかるので、外国人労働者を雇用するときには伝えておいた方が良いでしょう。日本では家族に財産を渡すときでも贈与税がかかります。年間110万円までは基礎控除があるので税金はかかりませんが、110万円を超えたら納税しなければなりません。海外の家族に送金した場合にも該当するので注意が必要です。海外の金融機関に借金の返済をするといった場合には問題になりませんが、家族や知人に対価なく送金する場合には贈与になります。

海外送金には犯罪行為がある

外国人に限ったことではありませんが、海外送金サービスを利用するときには犯罪行為が横行しているので注意しなければなりません。海外送金サービスと銘打っていて、不正な資金移動業を営んでいる悪徳業者も存在しています。マネーロンダリングに関わらされてしまったり、犯罪組織の口座に振り込みをしてしまったりする場合もあります。海外送金サービスには便利なものが増えているのは確かですが、手数料が安い、返戻金がもらえるなどといった魅力のあるサービスにはリスクもあるという認識が必要です。外国人労働者には悪質なサービスの情報を提供して、被害に遭わないように促すのが大切です。

外国人による日本からの海外送金

外国人が日本から安全に海外送金できるようにサポートするのが重要

外国人が労働をして得た資金を日本から海外送金をするときには特に法的な手続きが必要ない場合がほとんどです。ただ、100万円以上になると税務署からの問い合わせがあったり、送金先によっては贈与税の対象になったりする場合があります。不正送金を促す詐欺行為も横行しているので、外国人労働者を雇用する際には情報を提供して被害に遭わないようにサポートしていきましょう。

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